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特命係設置でテコ入れを図るが……

エーザイ、”ドル箱”認知症治療薬頼みに黄色信号点滅か?

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日本の医療制度に助けられた半面、マイナス影響も

 その目標への取り組みのひとつが、アリセプト特命係といえる。特許の切れた新薬は、ブランド力のある製品のため、ジェネリック医薬品と区別して「長期収載品」と呼ぶ。長期収載品は大抵、新たな疾患への適用拡大や、用量変更、剤型変更による利便性の拡大などで、売れる薬としての寿命を延ばすのが定石だ。例えばアリセプトも、ゼリーの発売やドライシロップの開発、用量のバリエーション拡大による利便性の向上、高度ADへの適用など数々の手を打っている。

 だが、昨年には背中などに貼れる貼付剤である「イクセロンパッチ」(ノバルティスファーマ)や「リバスタッチパッチ」(小野薬品工業)、ほかと違う薬の作用を持つ「メマリー」(第一三共)、ヤンセンファーマと武田薬品工業が共同販促する「レミニール」が相次いで発売されたほか、後半にはアリセプトのジェネリックが数多く投入された。競合が増えた今、すでに安泰とは言い難い状況を迎えている。

 さらに、政府の薬価制度も向かい風となっている。アリセプトは10年度の薬価改定で、画期的な新薬として優遇され、特許有効期間中は薬価が高額のまま据え置かれる「新薬創出・適用外薬解消等促進加算」の対象だったが、特許切れにともない12年度4月の改定では対象から外れた。加えて予想より市場が拡大した場合に薬価を下げる市場拡大再算定の対象にもなり、薬価は16.7%も下がった。これもエーザイにとっては「想定外」の事態だろう。

 そんなこんなで国内のアリセプトを取り巻く環境は厳しい。だがエーザイのこれからを支える抗がん剤「ハラヴェン」などの新薬がまだ育っていない今、特命係をつくってでもアリセプトを売ることが企業の存続を左右する至上命題になっている。
(文=草野 楽/メディカルジャーナリスト)

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