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被災マンション、地震保険の加入で明と暗

他人事じゃない!? 知っておきたい震災以降のマンション事情

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 今回の地震を受けて、一戸建てやマンション専有部分に限られていた住宅の応急修理制度は、マンション共用部分にも適用範囲が拡大され、半壊以上のマンションで上限1世帯当たり52万円支払われることになった。

地震保険はちゃんと支払われる?

 だが、公的な支援は残念ながらそれほど期待できない。となれば少しでも自己防衛しておきたいところだ。その対策のひとつとなるのが地震保険だろう。地震前、宮城県の地震保険の加入率は32.7%だった。それでも全国で2番目の加入率だった。地震保険は、管理組合としても個人としても加入することができる。

 地震保険の保険金額は、火災保険金額の30~50%の範囲内で設定され、かつ個人で加入すると、「建物で5000万円、家財で1000万円」が保険金額の限度となっている。なお、掛け金は地域に応じて若干異なるので、注意したい。

 管理組合で「地震で壊れるはずがない。保険料がもったいない」ということで震災前に解約した途端、被害に遭い、1円も保険金が支払われなかったマンションもあったという。

 地震保険では、一部損(損害率:3%以上20%未満)、半損(20%以上50%未満)、全損(50%以上)で、支払額は一部損は契約金の5%、半損は50%、全損は100%となっている。実際に、一部損と半損でも支払額に大きな差がある。仮に管理組合で2億円の保険に加入していると、一部損で1000万円、半損で1億円、全損で2億円となる。またこの時に、審査が行われるわけだが、審査に不服の場合、再審査を申請すると判定が変わることもあるということも覚えておきたい。地震保険は政府と保険会社が共同で運営している制度。政府もお金を出しているために保険金が下りやすいという事情もある。保険会社も再審査で甘めの査定になる傾向があるようだ。

 最後に、地震保険に加入していなかったという、仙台市宮城野区のマンション管理組合理事長の悲痛な叫びを紹介する。

「私たちのマンションは築40年が経過しますが、修繕積立金は1000万円ほどしかなく、公の支援制度を利用したとしても補修費用が捻出できず、このまま朽ち果てるのを待つしかありません」

 このマンションは階段が傾き、使用不可能な状態で、復旧のめどが立っていない。震災から1年が経過しても手付かずのままである。地震保険に入っていたマンションと入っていないマンションで、明と暗がくっきりと分かれているのだ。
(文=山口安平/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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