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先進医療特約100円でも高い

30代は生保、医療保険はいらない? ネット保険、貯金のみで十分!

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 現在、ネット生保の保有契約件数は生保全体の0.1%程度だが、20~30代を中心に契約が急伸している。ネット生命トップのライフネット生命の場合、足下では前年比で倍増ペースを記録している。

 ネット生保は、営業コストに占める人件費や固定費を大幅にカットできるため、実際、既存の同じような保障内容を持つ保険商品と比べて、かなり割安。モノによっては半額程度の保険を提供することに成功している。

 ライフネット生命保険のホームページでサンプルとして紹介されているものを見ても、「かぞくへの保険」という生命保険は、30歳で加入すると、保険金額1000万円・保険期間10年で、月額保険料は1328円となっている。また、「じぶんへの保険」という終身タイプの医療保険は、30歳での加入で、入院給付金日額5000円・1入院の支払限度日数60日・手術給付金なしで、月額保険料は1661円だ(いずれの保険も掛け捨てタイプ)。保障を手厚くしたければ、その分の保険料を上乗せするだけなので、仕組みもわかりやすい。単に、保険を勧めるだけなら、選択肢としていちばんに挙げたいところ。

 しかし、このような割安な保険であっても、実際にお世話になる確率を考えると、入る必要性は低いと考えられる。厚生労働省が5年ごとに行っている完全生命表(2007年発表)のデータを見ると、男性で30歳から40歳までに死亡する人は1000人中9人、確率にすると0.9%となる。裏を返すと、99%の人が生存していることになる。

 また、医療保険関連の入院をする確率はどうだろうか。明確な数字はないのだが、専門家が分析した結果によると、30代で入院をする人は年間で1000人当たり約50人、つまり5%の確率で入院患者が発生していることになる。ただし、この人数には繰り返し入院する人が含まれており、一度入院するとその後に入院する確率が高まるため、それを除けば、人数・確率ともにさらに減少するだろう。

 さて、こうしたデータを頭に入れて、改めて保険料を眺めてみよう。ネット生保の保険商品はかなり安くなっているので、「これぐらいなら入ったほうがいい」と思う人も多いだろう。そう感じた人は、素直に保険に入ったほうがイイ。保険に加入する”安心料”は否定できないからだ。

 しかし、発生する確率が数パーセントにとどまるのであれば、あえて入る必要がないのではないか、というのが個人的な見解である。これは、何もしないというわけではない。掛け捨ての保険料分の金額を、毎月貯蓄することをおススメする。毎月3000円ずつでも貯めれば、10年間で36万円だ。36万円あれば、健康保険に付帯している「高額療養費制度」【編註:医療機関や薬局の窓口で支払った額が、1カ月間で一定額を超えた場合に、その超えた金額を国が支給する制度】を活用すると、入院したとしても2カ月近くは余裕を持って入院することができるだろう。

 また社会保険には、死亡した人に支給されるべきであった退職手当金などを遺族が受け取れる「死亡退職金」があり、国民年金・厚生年金から支給される「遺族年金」もある。民間の保険に入らなくても、一定の保障は受けられるようになっているのだ。

 統計データを見ると、50代に入ると、死亡する確率、入院する確率は上昇してくるので、状況は異なってくる。だが、ほとんどの人にとって、40代までは保険は不要なのではないだろうか。保険料は貯金に回したい。「貯金は苦手なので、貯める自信がない」となると、それはまた別問題だが。
(文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー)

BusinessJournal編集部

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