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4期連続の最終赤字でも高額報酬を得るソニーのストリンガー氏

日産・ゴーン社長は報酬10億円に一歩届かず。その理由は?

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 海外では、高額役員報酬への株主の批判が高まっている。アメリカの金融大手、シティグループの株主総会では役員報酬案が否決された。イギリス保険大手、アヴィヴァでも役員報酬案を否決され、CEOが辞任に追い込まれた。フランスの航空大手、エールフランスKLMでは、CEOに対する巨額報酬や退職金の支払いが拒否された。

 欧米の企業のように、ソニーの株主総会でストリンガー氏の高額報酬が否決されることになるのだろうか。株価が1000円を割り込み、同社前身の東京通信工業時代の株価に先祖返りしたA級戦犯はストリンガー氏である。彼の実績と、明確に反比例する高額報酬が否決されなければおかしい。

 一方、好業績に支えられ、自分の報酬が10億円の大台に引き上がっていたとしても、日産社内からはまったく異論が聞かれない。ゴーン氏にとってニッポンは経営者天国だ。ストリンガー氏にとっても同じなのかもしれない。

※6月28日追記

 さて、ソニー・ストリンガー氏の役員報酬はいくらになったのか。前年の8億8200万円はどだい無理といわれてきたが、驚くべきことに4億6650万円。4億円台を大幅に突破した。ソニーは4億4950万円と発表しているがフリンジベネフィット相当額及びそれに伴う所得税額の一部補填分の1700万円を入れていない。27日の株主総会では株主からはストリンガー氏の取締役選任や高額報酬に強い疑問の声があがった。

 ソニーの株主はここまでなめられたままでいいのか。

 というのもストリンガー氏は05年6月に最高経営責任者(CEO)に就いて以来、7年間、ソニーグループを率いてきた。そして最後の4年間は赤字を垂れ流した。にもかかわらず、経営責任を取って退任することはなかった。12年4月からは会長。株主総会後は取締役会議長となり、取締役として居座り続ける。日本語ではこういう行為を厚顔無恥という。

 6月27日に開催したソニーの定時株主総会の招集通知書によると、ストリンガー氏や平井一夫社長(51)など執行役7人は2012年3月期の業績連動報酬を全額返上した。同期の連結最終赤字が4566億円と過去最悪になった。大赤字なのだから業績連動の評価はマイナスであり、返上は当然の措置である。しかもソニーが4年連続して最終赤字になるのは、創業以来初めてのワースト記録だ。

 12年3月期の基本報酬は、執行役8人(退任した1人を含む)に6億200万円が支給された。ストリンガー氏はこのうち2億7700万円を得た。前年比1800万円減に過ぎない。
ストックオプション(自社株購入権)分が執行役8人で5億5800万円が支払われている。ストリンガー氏の取り分は1億7250万円。株価の下落(これはストリンガー氏の責任だから自業自得だ)で理論価値が下がり、前年に比べて3億4550万円減った。業績がいくら悪くてもストックオプション分をきちんと行使するストリンガー氏はたいしたものだ(皮肉ですよ?)。

 東京・港区のホテルで6月27日に開かれたソニーの株主総会では「株価が1000円を割れば株主にとって屈辱。企業価値の毀損は(前CEO)のハワード・ストリンガー氏と(副会長の)中鉢良治氏が進めた『賞味期限切れ』の戦略が原因だ。2人の取締役の選任に反対する」。開会から30分が過ぎ、最初に質問に立った株主がこう批判すると、会場は大きな拍手に包まれた。

 ストリンガー氏は冒頭、「巨額の損失を出しご迷惑をかけた」と述べたが、「超円高、大震災、タイ洪水など環境が非常に厳しかった」と続けたため、最初に質問に立った株主から「資質のある経営トップは外部環境を理由にしない」と手厳しく反論された。

 ストリンガー氏は高額報酬だけでなく取締役選任に関しても株主から「ノー」を突きつけられた事実は重い。だが、ソニーには、この事実の重みが判っていない。

BusinessJournal編集部

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