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運営元のセブン&アイ、女性狙いも目論み外れか

1年でたった3店”苦戦”フォーPHO24、浮上のカギは男?

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開業1年からわずか3店舗止まり……

 昨年この出店のニュースを知ったときは、「おっ! セブン&アイが参入するとなると、フォーもついにブレイクか?」と思った記憶があります。というのも、これまでフォーは多くの飲食店がその「布教」にチャレンジしつつも、なかなか定着していないからです。そんな中、同社の資本力や物件取得力があれば、ひょっとすると……? と思ったのです。

 しかし、いざ蓋を開けてみると、市ヶ谷1号店開業から約1年が経過したものの、新規出店は池袋と大森の2店舗に過ぎず、合計3店舗止まりです。売り上げが好調であれば、次々と出店を重ねているはずですから、おそらく当初の目論みからは大きく外れているのでしょう。

 では、フォーがなかなかブレイクしない要因はどこにあるのでしょうか? 私はその最大のポイントは、「客層が女性客に極端に偏っていること」ではないかと思っています。この店の主たる利用層が、感度の高い女性であることは間違いありません。そのヘルシーさやエスニック料理自体の魅力に対して、情報に敏感な女性が反応しています。実際、店は女性の1人客や2人連れがほとんどです。

 その一方で、男性にとってはなかなか魅力を見出しづらいのも事実です。フォーの単品が630円~、そしてランチセットは830円ですから、定食やラーメンなどの外食と同等の価格帯です。ただし、それにしては食べごたえや満腹感で劣ってしまうので、近隣の飲食店と真っ向勝負というわけにはいきません。

単価・客数が見込みにくい女性客

 結果的に女性客に支えられる構造にならざるを得ませんが、そうすると繁盛のためには単価・客数ともに不足してしまいます。アルコールやサイドメニューによる単価アップはあまり期待できず、かといって高回転のファストフードのように客数をさばくこともできていません。

 こうした女性客中心のそこそこの価格帯の業態が成り立つとすると、それは女性の浮遊客がたくさんいる駅ビルやファッションビルなどになりがちなのです。実際、「コムフォー」という別のフォー専門店はプランタン銀座、丸の内オアゾ、渋谷東急プラザなど、女性客が多い商業施設ばかりに出店しています。あるいは、「スープストックトーキョー」という女性に人気のスープ専門店も、出店の立地を見ると、実は駅ビルや商業施設ばかりという点にも気づきます。

一人飯には男女差がある

 男性には立ち食いソバ、牛丼、ラーメンなど、さっと食事を済ませられる飲食店がたくさんありますが、女性にはそれが少なくて大変そうです。ですから、フォー専門店のように女性に優しい店が増えるのは本来望ましいはず。ただし、

 ・「客単価」:女性はあまり飲み食いしないので低単価になりがち
 ・「客数」:滞在時間が長くてあまり回転しない
 ・「リピート率」:情報に敏感な女性は特定の飲食店に固執しない

などの観点から、女性をメインターゲットとする飲食店は、実は大変に難しいものなのです。

 それでも女性をしっかり取り込みたいのならば、「コラーゲン」や「スイーツ」を充実させる以外に

・野菜をたっぷりのボリュームで提供する(ちまちましていないことが大事)
・汚いイメージの業態を、こぎれいなスタイルで提案する(ホルモン焼など)
・細かな気遣いを店内の随所に盛り込む(ひざ掛けが用意されているなど)

といった工夫を凝らすことが、繁盛への近道といえるでしょう。
(文=子安大輔/株式会社カゲン取締役)

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