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「パクス・シエーナ」(中国の覇権)は日本のチャンス

市場関係者間で話題、円・元直接取引で東証が生き返る?

【この記事のキーワード】

市場関係者間で話題、円・元直接取引で東証が生き返る? の画像1「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/1月21日号)
「パクス・シエーナ」

 いま市場関係者の間で話題になっているキーワードである。パクスとは、ローマ神話に登場する平和と秩序の女神であり、シエーナとはラテン語で中国を表し、直訳すれば「中国による平和と秩序」となる。ローマ帝国の覇権と繁栄が「パクス・ロマーナ」と表現されたのが始まりで、その後の世界の覇権は「パクス・ブリタニカ」(英国中心の世界)、「パクス・アメリカーナ」(米国中心の世界)と変遷してきた。

 そして、21世紀は「パクス・シエーナ」の時代を予感させるということであろう。根底にあるのは、中国の軍事・経済面を中心にした覇権への意欲であり、国力の象徴である「通貨覇権の確立」にほかならない。

2重の手数料負担が解消

 その「中国中心の世界」を象徴する「人民元」と、「日本円」の銀行間直接取引が、6月1日から東京と上海の両市場でスタートした。昨年12月に日中両国が合意した金融・経済協力を受けた施策で、従来、米ドルを介してしか取引できなかった人民元が、日本円と直接交換できることになった。日中間の貿易決済では、これまで人民元を米ドルに替え、米ドルから日本円に替えなければならず、為替手数料が二重にかかっていたが、直接為替交換ができることで手数料の軽減が図れるメリットがある。これまでのところ一日当たりの取引量は10億元(約125億円)程度となっている。

 従来、人民元と直接取引できる通貨は、米ドル、マレーシアリンギット、ロシアルーブルの3通貨に限られていた。そこに日本円が加わった意味は大きい。

 中国の狙いはいくつかあろう。

 ひとつは、人民元はこれまで米ドルを介した為替取引に事実上限定されていたため、根幹部分で常に米国の通貨戦略に引きずられる懸念がつきまとった。実際、リーマンショック後の米ドルの下落局面では、中国の外貨準備は巨額な評価損を抱え込まざるを得なかった。中国の外貨準備は約3兆ドル(約240兆円)まで膨れ上がっているだけに、その為替リスク対策は喫緊の課題であったといえる。人民元と日本円との直接取引がスタートしたことで、外貨準備の運用を含め、為替リスク対策の多様化が図れる点は見逃せない。

BusinessJournal編集部

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