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スポーツライター小宮良之の「フットボールビジネス・インサイドリポート」第2回

限られた人材だけで強豪チームを作るクラブマネジメント術

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「バスク人だけで戦うためには、バスク地方のクラブに所属している優れた才能を見極め、発掘し、レサマで育てる。その流れを絶やさないこと。それしか生き残る術はありません」

 そう証言したのは、60年代のビルバオを支えた名GKで、現在はクラブの顧問を務めるホセ・アンヘル・イリバルだ。

「我々のポリシーはハンディとも言えますが、限られた人材だからこそ大切にしますし、将来的にも変えるつもりはありません。このポリシーのおかげで、レサマの少年たちの士気は高く、”自分たちも先輩の後に続く”と常に挑戦に溢れていますから」

 バスク純血主義。そう一つの限定をしたことで、選手たちは自らのアイデンティティーを見出し、ピッチで100%以上の力が出せた。持たざる者たちの逆転の発想だった。他クラブの選手は、「ビルバオのように自分のことを信頼してくれたら、もっとできるのに」と悔しがる。ビルバオでは、人がクラブを強くしているのは歴然。彼らはマネーパワーに縋る必要などない。

「誇りを持てる戦いがしたいんだよ」

 ビルバオファンは口々に言う。本拠地サン・マメス・スタジアムは老朽化して設備もオンボロだ。しかし、長年ファンに親しまれてきた味わいがある。そして地鳴りのように響く歓声。人を柱にしたクラブは、まさにそれを愛する人々に支えられている。

 正々堂々と戦う彼らの姿には、浪漫がある。フットボール本来の良心が胸に響くのだろうか。たとえ敗れようとも、受け継がれし志は敗れない。
(文=小宮良之/スポーツライター)

●小宮良之(こみやよしゆき)
1972年、横浜市生まれ。大学卒業後、スペインのバルセロナに渡り、語学力を駆使してスポーツライターとして活動。EURO、冬季五輪、W杯などを取材後、2006年から日本に拠点を移し、人物ルポ中心の執筆活動を展開する。『アンチ・ドロップアウト』『フットボール・ラブ』(共に集英社)、『名将への挑戦状』(東邦出版)、『ロスタイムに奇跡を』『導かれし者』(共に角川文庫)、『ザックJAPANはスペインを倒せるか?』(白夜書房)など著書多数。最新刊は海外移籍した日本人の戦いを検証した『サッカー「海外組」の値打ち』(中公新書ラクレ)。@estadi14(Twitterアカウント)

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