NEW
日本の社外取締役は有名無実な存在

経団連の反発でオシャカになった社外取締役の義務化法案

【この記事のキーワード】,

 融資先などとの利害が錯綜するので誰を社外取締役に選ぶかが難しいという、お家の事情は確かにあるが、要は「社外(取締役)から銀行経営についてガタガタ言われたくない」ということなのだ。今年1月、経団連は「社外取締役であれば常に適正な監督を行うとは限らない」との意見書を法務省に提出し、社外取締役の選任を義務付ける動きを牽制した。経団連は大手化学メーカーや鉄鋼など重厚長大型企業が主流派だ。

 経済同友会(長谷川閑史代表幹事・武田薬品工業社長)も義務付けに反対したが、「上場会社には社外取締役は必要で、その選任には法律による義務化ではなく、証券取引所による上場規定などで対応すべきだ」と主張していた。経団連ほど頑迷ではない。

 一方これに対して、日本弁護士連合会、日本監査役協会、日本公認会計士協会、東京証券取引所(斉藤惇社長)、日本取締役協会(宮内義彦会長・オリックス会長)は1人以上の義務化に賛成した。コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化を求める側は義務付けに賛成で、本当は経済界の対応は大きく分かれていたわけだ。

 巨額な損失隠蔽事件から元社長らの逮捕に発展したオリンパスでは、3人の社外取締役が選任されていたが、隠蔽工作をまったくチェックできなかった。社外取締役に選ばれる人は、社長の“お友達”であるメインバンクの役員・元役員や高級官僚の天下り組であることが多い。複数の会社を掛け持ちしているケースが多く、こうしたことも原因となっているだろう。

 最終的には「証券取引所の上場規制で社外取締役の設置を努力義務とするよう求める」など一定の前進はみられたが、社外取締役の義務化が見送られたことにより企業統治改革は道半ばで終わった。社外取締役を置かない企業にはその理由を明らかにするよう求められている。

 皮肉なことに経団連米倉会長の出身企業である住友化学では、6月末の株主総会で社外取締役を選任した。経団連は反対なのに住友化学は社外取締役を置くことになった。これは一体どういうことなのか?

 社外取締役さえ置けば、監視機能がすべてうまくいくという保証はない。その悪しき例がソニーだった。ソニーは早くから経営の監督と執行の分離を進めており、03年に委員会設置会社となった。取締役会の中に指名、報酬、監査の3委員会を置き、それぞれ社外取締役が過半数を占める企業統治体制となった。

RANKING

23:30更新
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合