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日本の社外取締役は有名無実な存在

経団連の反発でオシャカになった社外取締役の義務化法案

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 前期までソニーを率いてきたハワード・ストリンガー氏は、社外取締役の数を年々増やし、昨年には取締役15人のうち13人が社外取締役。社内からの役員は、ストリンガー会長兼社長CEO(最高経営責任者)と中鉢良治副会長の2人だけだった。

 ソニーの場合、「さすがに社外取締役の数が多すぎる」という声が挙がったが、社外取締役がきちんと監視の目を光らせていれば、人数は問題ではない。しかし、まったく機能していなかったから批判を浴びたのだ。

 ストリンガー体制下で、ソニーの中核であるテレビ事業は8期連続の赤字、最終損益は4期連続の赤字。それでいて、ストリンガー氏は12年3月期に4億4950万円の役員報酬を得ていた。前年度に比べて半分ほどに減ったとはいえ、あまりの高額報酬に、株主総会で批判の声が相次いだ。ストリンガー氏の高額報酬を決めたのは、社外取締役が仕切る報酬委員会ということになっていた。

 しかも、4期連続の赤字で引責辞任するどころか、今期、会長兼社長CEOから取締役会議長に“昇格”したのだ。社外取締役は何をしているのかと批判が渦巻いている。

 ソニーは、取締役会議長だった小林陽太郎・富士ゼロックス元会長や張富士夫・トヨタ自動車会長、小島順彦・三菱商事会長など大物が社外取締役に就いていた。彼らは、出身企業が赤字になれば、それこそ怒り心頭に発するだろう。だが、ソニーがなぜ赤字なのかを徹底的に問い質すことはしてこなかった。

 ソニーは日本の企業でいち早く、社外取締役による監視体制を取り入れた。その結果、4期連続赤字の責任を経営トップが取らなくていい無責任体制ができあがったのである。

 7月17日現在、東京証券取引所第1部に上場する企業の53.9%が社外取締役を選任しており、5年間で、その比率は10ポイント上昇した。形式的には社外取締役を置く企業は、これからも増えることだろう。だが、必要な時に適切に「ノー」と言える社外取締役はほとんど皆無といっていい現状からみて、社外取締役の起用や増員がコーポレートガバナンスの強化につながるわけではないことを肝に銘じておく必要がある。

 社外取締役選任義務化は見送られたが、義務づけられたとしても実効性があるかどうかは疑わしかった。社外取締役の選任はポーズで、投資家に対して、「欧米流の開かれた経営を採り入れている」とアピールする以上の意味はないからである。
(文=編集部)

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