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海外と逆行する経産省のシナリオ「エネファーム普及」

コストは欧米の2倍!?官民肝いりの家庭用燃料電池に暗雲

「産業用から家庭用へ」が世界の常識

 例えば米国の場合、わが国のように家庭用電池は商品化されていないが、産業用電池は商品化され、導入が進んでいる。

 有名な企業としては、グーグル、フェデックス、ウォルマート、AT&T、アップルなどが導入している。米国エネルギー省によれば、全米ですでに約700基の産業用電池が稼働しているという。

 米国では産業用分散型電源として、燃料電池の普及がすでに始まっているのだ。

 10年から普及が始まったといわれる米国の産業用電池は、1kWあたりの導入コストは40万〜60万円台。20万円前後といわれる一般的な火力発電と比べると、2〜3倍割高だが、分散型電源としての使い勝手の良さ、燃料電池ならではの運転コストの安さ、環境負荷の低さなどを総合的に考えると、企業にとって十分魅力のある電源になっているようだ。

 欧州でも商用化を急いでいるのは産業用だ。家庭用より製造技術の完成度が高く、いったん完成させてしまうと、その技術を家庭用に展開するのが楽だからだ。

 つまり、世界では産業用電池の開発・普及が先で、家庭用は産業用の用途多様化の一環に位置付けられているわけだ。

 事実、ブルームエナジー(米国のエネルギーベンチャー)は、産業用電池で蓄積した製造技術の応用で、今後5年以内に、1kWあたりの導入コストを20万円台に抑えた家庭用電池の商用化を目指している。

わが国のエネファームの1kWあたり導入コスト380万円台と比べると、コスト競争力は比較にならない。

 米国に比べ、家庭用の普及を優先したわが国では、産業用は現在30基程度が実証試験的に稼働しているにすぎない。

破綻している経産省の普及シナリオ

 富士経済が昨年発行した『2011年版燃料電池関連技術・市場の将来展望 上巻』によると、10年の世界の産業用電池市場規模は545億円、家庭用電池市場規模は157億円と推測している。これが25年には産業用が8610億円で10年比15.8倍、家庭用が1兆3335億円で10年比84.9倍に伸びると予測している。

BusinessJournal編集部

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