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短寿命・低価格で凋落したパナソニックとソニーは復活なるか?

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 また消費者のニ-ズは、製品本体の価格の安さよりもブランド、デザイン、サ-ビスなどの付加価値を求める価値指向に向かっている。こうしたもの造りの世界的な潮流変化にいち早く気づき、自社の製品開発戦略の大転換(ギアチェンジ)を行ったのが、アップル社創業者スティ-ブ・ジョブズである。iPod、iPad、iPhoneの製造は、韓国・台湾・中国などの生産委託企業に任せ、自社はもっぱらブランド、デザイン、サ-ビス(音楽配信などの多様なコンテンツ)の開発に集中し、製造利益(製造部門から得る利益)からは決して得られない多額の開発利益(開発部門から得る利益)を獲得した。

 日本企業は、家電総崩れとなったこの機を奇貨として、もの造りの開発戦略のタ-ゲットを従来のような製品の開発スピ-ドや価格の安さを競い、規模の利益が得られる巨大市場を狙った短寿命化・低価格指向・大量生産から、製品の長寿命化、価格指向より価値指向を推し進め、長サイクルの事業の強みを最大限に生かした路線に大転換すべきである。

過去を大胆に否定する

 パナソニック、ソニ-、シャ-プの家電3社は、せっかく揃って新社長に交代したのだから、このチャンスを逃さず、これまでの開発戦略やビジネスモデルを大胆に否定して、生まれ変わるぐらいの覚悟がないと、日本の家電メ-カ-は厳しいグロ-バル市場で生き残るのが難しいだろう。欧州メ-カ-のように、寿命の長い製品を長く使ってもらい、日本独自のブランド力やデザイン力、そして日本人の感性を生かしたきめ細かいサ-ビスで勝負する開発戦略に大きく転換しない限り、こうした大企業といえども衰退は避けられない。

 例えば、製品サイクルの短いパソコン、テレビ、ケ-タイ、スマ-トフォンといった短寿命化製品の生産は、思い切って海外のパ-トナ-企業(生産委託企業)に任せ、自社はそれらを活用したブランド、デザイン、サ-ビスの開発に集中するという選択肢もあるだろう。あるいは家電製品の中でも比較的製品サイクルの長いエアコンや冷蔵庫、エコ製品など、長寿命製品の開発で他社が容易に追従できない強みや特色を発揮するという手もあるかもしれない。製品開発の主要タ-ゲットを第1象限の分野に絞り、そこで他社が真似できない開発利益を獲得していく開発戦略への転換が必要になる。

 いずれにしても、日本の家電企業はいま、世界市場で生き残れるか、それとも衰退するかの文字通りの正念場に立っている
(文=野口 恒/ジャ-ナリスト)

BusinessJournal編集部

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