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チャイナリスク顕在化。業績下方修正企業も続出

「もはやメリットがない」“世界の工場”中国から企業が撤退中!

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<今や中国は粗鋼の生産量も自動車の生産量も世界一で、「世界の工場」と呼ぶに相応しいが、その中身はかつての「世界の工場」とは根本的に異なる。まずは18世紀後半に産業革命を起こしたイギリスが、次いで20世紀に入ってからアメリカが、そして第2次世界大戦後は日本が「世界の工場」となった。これらの国々の工場は、あくまで自国の資金を投じることで、自国の人々によって運営されてきた。

 ところが中国の場合、確かに工場は中国国内に存在するが、それらは外資系企業が運営するものが中心だ。つまり、「中国が世界の工場になった」のではなく、「世界が中国を工場にした」のだ>(「SAPIO」2012年8月1・8日号)

 浜氏の指摘は重要だ。日米で製造業の「自国回帰」の動きが出てきている。米国では製造拠点を海外から国内に移す「リショアリング」と呼ばれる現象が起きている。特に、中国から工場を引き揚げる動きが活発化している。

 背景には中国での人件費の上昇がある。製造業1人当たりの平均賃金はここ数年、年率、2ケタ増のベースで伸び、5年間で、賃金はほぼ倍増した。低賃金が魅力で中国に工場を出したが、賃金の急上昇で中国に製造拠点を置くメリットがなくなった(あるいは薄れた)と思い始めた、ということだ。

 自国の資金で「世界の工場になった」のであれば、そう簡単に脱・中国はできない。だが、安い労賃を求めて世界のメーカーが中国を工場にしたのであれば、低賃金の魅力が消えれば中国から逃げ出していく。これが中国の景気減速を大きくし、景気回復のテンポを遅らせる隠れた原因となっていることに気付くべきだ。

 脱・中国の動きは日本メーカーにもみられる。顕著なのはパソコンメーカーだ。日本ヒューレット・パッカードは、11年8月より、デスクトップ型を手掛ける昭島事業所(東京都昭島市)に中国からノート型パソコンの生産を移管した。

 中国では賃金上昇と労働争議という2つの難問が待ち構えているが、これに環境問題が加わった。中国江蘇省の王子製紙南通工場が利用する予定だった新しいパイプラインの設置計画が、周辺住民の反対デモの激化により撤回された。混乱が長期化すれば、王子製紙の今後の中国戦略に打撃を与えることになる。南通市には日立金属や帝人など100社以上の日系企業が進出している。日系企業の環境対策の重要度が、さらに増したといっていいだろう。環境対策イコール、コストの増加である。

 チャイナリスクの顕在化によって、中国からベトナムやタイなど東南アジアに生産拠点を移転する動きが加速する。
(文=編集部)

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