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事件発生から6年に及んだ株主訴訟の画期的な結末

ライブドア、賠償金100億払っても資産潤沢? のカラクリ

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好条件が重なった、たぐいまれなケース?

 ただ、この判決でも実損額を回収できる投資家も結構いたため、高裁への控訴に臨んだのは全体の約半数。

 日生・信託銀連合は09年12月に出た高裁判決で、さらに有利な判断をもらい、98億9600万円の支払いを命じる判決を得ている。

 この判決の影響なのかどうかは定かではないが、この2年後の昨年11月に出た米川弁護団訴訟の高裁判決では、1審の虚偽記載による1株あたりの株価下落分200円は、大幅に引き上げられて550円という判断が出る。米川弁護団の請求金額は1株あたり579円だったので、この金額は請求金額の95%。

 この時点で和解をせず居残っていた投資家は228名に減っていたのだが、さらに最高裁への上告で満額獲得を狙い、最後まで残ってめでたく満額の獲得に至ったのが今回の49名というわけだ。

 日生・信託銀連合の訴訟は、今年3月に最高裁判決が出ており、結果は高裁判決からわずか1200万円だけ減額した98億8400万円。こちらも満額に近い金額で勝利が確定している。

 米川訴訟は原告が認諾してしまったので、最高裁は判決を書かずじまいになるが、今回の結果は「過去に例がない成功例」(米川弁護士)だ。

 個人投資家が訴訟を起こすハードルは極めて高い。3000人を超えるような大集団になったからこそ、著名弁護士が団長を務め、多数の弁護士が協力する弁護団が形成できた。

 しかも刑事事件が先行し、原告の立証負担がその分軽くなった。そもそも被告のライブドアに賠償に耐える資力もあった。資力がなければ裁判に勝っても実際の賠償は受けられないから、戦っても無意味ということになってしまう。

株主はなんと8万人

 上場廃止が決まってからの1カ月間、潤沢な資金を狙い、多くの横文字ファンドがライブドア株式を取得した。上場廃止後も株主数が減らなかったため、ライブドアは毎年有価証券報告書を提出し続けており、11年3月末時点での上位株主は横文字ファンドだらけ。株主数は8万人に上る。

 ライブドアは上場廃止後、ファンド各社から派遣された経営陣が会社を持ち株会社の形態に変え、事業実態をすべて子会社に移し、ひたすら子会社を売り続けて現金に換えてきた。このため、11年3月末時点で419億円もの現預金資産を持ち、純資産は333億円もある。この1年間で100億円以上の賠償金が支払われているはずだが、それでもかなりの残余財産が残るはずで、今後この残余財産は8万人の株主に分配されることになるはずだ。

最高裁は投資家保護を重視?

 そして最も重要なポイントは「最高裁が金商法21条の2の解釈として、有価証券報告書虚偽記載による下落の範囲を広くとる判断をしてくれたこと」(米川弁護士)にある。

 同条項は、有価証券虚偽記載で投資家が損害を負った場合の、株式発行企業による賠償責任を認めている。これまでは損害額は虚偽記載発覚直前と発覚後の差額とする「取得時差額損害」説が一般的な解釈とされていたが、最高裁は取得価格と虚偽記載発覚後の差額である「取得自体損害」説で判断を下した。

 この説に従えば、場合によっては今回の訴訟でも、より多額の賠償額が認められた可能性が出てくる。

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