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織田直幸「テレビメディア、再考。」第2回

放送と通信の融合? 津田大介が見た、あるNHK番組の可能性

文=織田直幸
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『NEWS WEB 24』に関して、私にはわからないことがあった。

 それは番組放送中の25分間、ずっと画面の下に流れ続けているツイートにまつわることだ。

 画面の上の方にはニュース映像が流れ、アナウンサーはその解説をし、下には常にツイートが流れている。しばらくこの画面を見ていると、自分が目線の置き場に困っていることに気づく。多くの視聴者はおそらく、この情報量の多さを視覚的に処理し切れない。処理できないほどの情報量を詰め込むことにどんな意味があるのか。

 また、このツイートは全てチェックすることなくスルーで流しているのか。もし番組制作側がツイートを取捨選択しているとしたら、そこに偏りはないのか。まずはここらへんのことから、津田さんに聞いてみた。

「あのツイートはたしかにおっしゃる通り、つらいですよね。要は情報量が多い。でも、あの番組を好きな人はいったん番組を録画して、その後、ツイートを見るという人もいるようです。あるいは録画しなくても番組終了後ハッシュタグを見れば、どんな意見があったかはわかります。いずれにせよ、ニュース番組の新しい楽しみ方は提供できているとは思ってます。

 ツイートの取捨選択は番組スタッフが行っています。今、一回の放送時間25分間に3000〜4000件のツイートがくるから、とてもではないけれど全部は流せない。時にヘイトスピーチ(番組への悪口)や厳しい意見なども意図的に拾いながら、別のスタッフがツイートを随時ピックアップしています。

 そうした取捨選択を『検閲だ』などと言うユーザーがたまにいるけれど、これってバカバカしい。後でハッシュタグを見れば、ツイートはすべて読めるわけですから」

 ニュース番組の新しい楽しみ方の提供、と彼は言った。

 番組放送中、リアルタイムでツイートがテレビにアップされる前提がなければ、こんなにたくさんのツイートはされないだろう。視聴時の目線に難があることを差し引いても、あのツイートが画面上に常に露出していることで視聴者は「番組とどこかで繋がっている」感覚を持つことができるということもある。

 津田さんが語る“新しい楽しみ”とは、視聴者が見ている時のことというよりも、見ながらツイートする時の楽しみに力点が置かれているのだろうと思う。つまり、ニュース番組とリアルタイムに繋がっている感覚、ニュース番組に参加する楽しみのことだ。津田さん自身はそういう言い方はしなかったが、私にはそう聞こえた。

『NEWS WEB 24』が画期的なところ

 このツイッターとの連動が番組形式としては確かに目立っているものの、何回か番組を見るうち、実はこの番組で一番インパクトがあるのは『気になるニュース』というコーナー企画だと思い始めた。その前のコーナーが長くなってしまった場合はやらない日もあるようだが、大概はこのコーナーをやっている。コーナータイトルはやたら地味だが、やってることは実はかなり画期的なことだと思う。

 一般的なニュース番組では自前で撮ってきた映像を流しながら、アナウンサーが解説をするという形式を取る。しかしこのコーナーでは、ネット・ナビゲーターと呼ばれる日替わりコメンテーターの選んだ『気になるニュース』を紹介しているwebページがまずは画面に大きく映し出される。

 ネットで「テレビではこんな風に言ってた・やってた」とツイートしたり、その番組動画を貼り付けたりすることは当たり前のように行われているが、この『ニュースWEB 24』の『気になるニュース』では、ちょうどその逆をやっていることになる。

『NEWS WEB 24』というタイトルの番組だから……。そう言われてしまえば身もフタもないが、この見せ方が言外に言っていることとは「今からNHKで紹介するニュースのソースは、実はあなたも普通に閲覧できるWEBなのです」ということなのである。

 ここらへんのことを津田さんに聞いてみた。

織田直幸

織田直幸

株式会社ゼロ社・代表取締役。プロデューサー/編集者

2012年8月、㈱カンゼンから書き下ろし小説、テレビメディアの崩壊と再生を描いたアクション小説『メディア・ディアスポラ』が上梓された

メディア・ディアスポラ

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『メディア・ディアスポラ』 織田氏しか書けないテレビメディアのリアル amazon_associate_logo.jpg

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