総務省も8割がムダだと評価した!?国の再生エネ事業って一体…

　一方、短所は、

　（1）資源が広く薄く散在しているので、資源の収集コストが再生エネの中で一番高い。
　（2）トウモロコシのように食糧と競合する場合がある。
　（3）適切に管理しなければ資源が枯渇する。また資源確保のための山林皆伐などにより、生態系を破壊する恐れがある――などだ。

国は環境整備に徹すべし

　したがって、バイオマスを事業化するための政策推進には、こうしたリスクやコストを、適正に価格に反映できるような総合的な経済政策が必要になるのだが、バイオマス総合戦略にはそれがない。

　他の先進諸国が手をつけていない難しいバイオマス利用技術を開発するのが、政策目的の観さえある。難易度の高い技術開発への挑戦自体は良いことだが、これが各省庁の予算獲得の手段に使われているから始末が悪い。

　バイオマスは人類が古来から利用してきたエネルギーであり、その歴史は化石燃料より古い。この事実を再認識し、ガイドラインに沿った事業化ではなく、原料調達コスト、採算性など現実に即した事業化を目指すべきと思われる。

　そして、事業化推進は企業の創意と努力に委ねるべきで、国はその環境整備に徹すべきだろう。一例を挙げれば、バイオマス燃料の品質基準や利用時の安全基準の整備だ。

　現状を見ている限り、国が実効的なバイオマス政策を推進しているとは、とても考えられない。
（文＝福井晋／フリーライター）