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かっぱ寿司を抜き業界首位の寿司チェーンがたらい回し!?

紅茶寿司も? 業界首位回転ずし「スシロー」が外資系企業に

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 それから5カ月。スシローは8月27日、反撃に転じた。投資ファンドのユニゾン・キャピタルと水産大手の極洋との3社で戦略的業務・資本提携を締結。ユニゾンが設立した2つのファンドに第三者割り当て増資と新株予約権を付与した。その結果、ユニゾングループの2社はゼンショー、創業者の清水義雄氏に次ぐ第3位、第4位の株主になった。

 ユニゾンによるゼンショー撃退作戦はMBO(経営陣が参加する自社買収)によるスシローの株式の非公開化だった。08年9月25日、ユニゾングループの2つのファンドが出資して設立したエースホールディングス(HD)が、スシロー株式の公開買い付け(TOB)を実施。TOB価格は1株3250円。エースHDはスシローの発行済み株式の64.08%を取得した。

 09年4月1日、スシローは東証2部から上場廃止となった。5月31日、エースHDはあきんどスシローを吸収合併したうえ、社名をあきんどスシローに変更した。25.77%(結局、新株予約権は行使されなかったので、ゼンショーの持ち株比率は若干下がっただけだった)を保有する筆頭株主のゼンショーはTOBに申し込まず、TOB後に行われた株式交換時に同額の金銭交付を受けてスシローから撤退した。スシローは、助っ人ユニゾンの手を借りてゼンショーを追い払ったのである。

 スシローを巡るユニゾンとゼンショーの攻防戦では、双方の陣営に大手法律事務所のM&A担当の大物弁護士がつき、法曹界でも話題になった。

 株式を非公開化したスシローの11年3月期の売り上げは、かっぱ寿司を抜き首位になった。外食チェーンはオーナー経営者が経営に行き詰まりMBOを実施したり買収されるケースが多い。その後は、投資ファンドと経営陣が対立して業績は低迷しているのが常だ。

 ユニゾンがうまくいったのは、スシローの経営陣を味方につけたことが大きいと評されている。ゼンショー撃退の先頭に立った取締役営業部長の豊崎賢一氏が社長になった。豊崎氏は創業者の義雄氏がつくった立ちずし店「鯛すし」に就職して以来、義雄氏と行動を共にしてきた叩き上げの寿司職人である。

 ホワイトナイトの役割を終えたユニゾンは保有株式を売却して撤退することになる。

 どれくらい儲かったか。ザッと計算して、支出は第三者割り当て増資引き受け分が48億円、TOBによる買い付けが143億円、ゼンショーへの金銭交付が54億円の合計245億円。CEILへの譲渡価格は約10億ドル(約786億円)。差し引き541億円の売却益が出る計算だ。ユニゾンはホワイトナイトとして破格の報酬を得たことになる。

 スシローを買ったCEILは、どんなソロバンを弾いているのか。スシローの再上場で高値売却を狙っているのは間違いない。スシローがどのくらいの時価総額(発行済み株式数×株価)になるかは同業他社と比べてみればわかる。

 スシローの11年9月期の売上高は998億円で、営業利益44億円、当期利益9億円。業界2位のカッパ・クリエイト(12年9月カッパ・クリエイト・ホールディングスに商号を変更する)の12年2月期の売上高は926億円、営業利益33億円、当期利益15億円。ほぼ互角とみていい。カッパ・クリエイトの時価総額は400億円台だ。スシローが再上場しても、時価総額は400~500億円台が妥当なところだろう。CEILは明らかに高値買いをしている。

 その分、再上場に向けCEILの要求は厳しくなる。ユニゾンの時のように双方が得するウィンウィンの関係は期待できそうもない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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