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「株や商品の取引で一攫千金」相場師という職業とその業

野村證券も加担?「サギ師に騙され55億損」した相場師の末路

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 宇都木氏はTDF株を買い支える条件として、外資系の投資顧問会社から60億円分の外債ファンドを購入するよう寺町氏に要求した。寺町氏はTHKとツムラの株券を野村證券新宿支店に預け、これを担保に外債ファンドを購入することにする。

 ところが、宇都木氏は野村證券に「THKとツムラ株を担保に、TDF株の取引を寺町氏から一任されている」と言って、寺町氏の口座からTDF株の大量の買い注文を出した。一瞬の隙をつき、宇都木氏の、この仕掛けは成立した。こうした事件を証券業界の専門用語で鉄砲といい、買った株の代金を支払わないことをいう。鉄砲=撃ちっぱなしという懸(かけ)言葉になっている。

 寺町氏は怒り心頭に発し、宇都木氏を訴えた。詐欺罪に問われた宇都木氏は懲役8年の実刑が確定。鉄砲で得た資金のほとんどが暴力団に流れていたといわれている。

 この事件の責任を取り、寺町氏はTHKの社長の椅子を息子の彰博氏に譲り退任した。創業した上場会社のトップの座から、相場のせいで降りるのは2度目である。

 それでも相場師のムシはおさまらない。04年6月、商品先物取引のフジフューチャーズの会長兼社長に就いた。干瓢(かんぴょう)の買い占めをはかり、その過程で商品取引の会社を持っていた方が便利だと悟り、買収したのである。この干瓢相場で寺町氏は100億円近い損を出した。

 つい最近まで同社の社長の座に就いていたのは、相場の魔力に取りつかれていたからだ。技術者、実業家、相場師という3つの分野で名を成した人物は、寺町博氏だけだろう。
(文=編集部)

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