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幸運を呼ぶミラクルコンサルタント・田中雅子「ゼロからのリーダー学」第8回

派閥、パワハラ…社内の“ボスザル”争いが、会社を滅ぼす?

文=田中雅子/田中総研代表
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 これだと一体感もないし、組織としてのチーム力も発揮できないのです。中長期計画は示されているものの、それに伴った具体的な計画が知らされていないので、社員も右往左往してしまう。実際に質問してみると、マネージャークラスですら「なんか聞いたことはあるなぁ…」程度の認識だったりするんです。組織が大きくなり、さらに地方の支社なんかだと、トップの経営方針とか中長期計画に対する実感は薄れていきます。それはなぜかというと、「本社が言ってるだけで」変わらなくてもいいと思っている意識が強いからでしょうね。

 実際、地方ではグローバル化の波を受けると、大きな影響が出ます。私の地元は、地方でありながらグローバル企業の城下町ですが、グローバル化で海外に工場が出ていってしまうと大変なことになります。

 なぜなら、その工場に付随した多くの下請け企業があるからです。彼らは、発注先の大企業の工場が海外移転していなくなったら、即売上ゼロの事態もありうる。街も閑散としてしまいます。だから、グローバル化といえば、地方のほうが本当は切実なはずなんですね。

 もし、グローバル化が会社の方針であるならば、当事者意識を常に持って取り組んでいくことが、本当はマネージャークラスが果たすべき役割なのです。「いつかは……」と叫んでしまう「見ザル」「聞かザル」が増えているのは、その役割を放棄していることになります。だからなのでしょう。グローバル化というと、地方と本社では大きな温度差があるように私は感じることが多いです。

グローバル化に地元密着で対峙している地方企業

 先日、九州の博多に仕事で立ち寄った時のことです。地方で有名な企業は、東京の会社と違って、「地方をなんとか再生しよう、守ろう、地元を振興しよう」といった活動と会社の経営が、必ずリンクしています。

「公明正大な経営をして儲けたお金で税金払うから、それで地元を活性化させたい」

というような社長が多いのですね。だから、ウチの会社は儲け続けなくてはいけないという健全なモチベーションがある。もちろん地域の雇用も必死になって守っていますから、社員の会社に対するロイヤルティも、ものすごく高かったりするのです。まさに商売人だと思うのです。

 一方で、商品やサービスはその地方にとどまらず、全国へと拡大し、海外比率が高い企業も目立ちます。地元にこだわり、育ててくださった地元のお客様・取引先と密着し、雇用を守るから、社員のロイヤルティも高い地方企業の姿は、堂々とグローバル化に対峙している企業の、成功モデルの一つのようにも思えます。

 それは、経営者やマネージャークラスのリーダーが、社員との意思疎通をきちんと図り、会社のビジョンや戦略が浸透しているからです。そのような企業のほうが、グローバル化以外の観点で見ても、やはり俊敏に意思決定できるのだろうなと感じました。

より広い世界を見て、それに対応できるかがグローバル化のカギ

 今は、どのような業種であっても地球全体で商売が動いているわけで、そういう大きい視野でビジネスを考えていくことが、私はグローバル化の原点ではないかと考えています。ですので、これまでよりも広い世界を俯瞰して、今までのやり方を見つめ直して、それに対応できる組織やチームに変化できなくてはだめなのです。

田中雅子/田中総研代表

田中雅子/田中総研代表

“経営総合コンサルティングファーム” 田中総研代表

大学院在学中に、窮地に追い込まれた家業をいきなり継ぐことになり、稼ぐために外資系企業に入社。1年で部長に上り詰め、ファーストリテイリング(ユニクロ)に転じる。その後、一部上場企業執行役員、子会社社長を経て、独立。現在は、田中総研代表として、経営コンサルティングや企業研修、講演、執筆、テレビコメンテーターなど幅広く活動している、経営コンサルタント。

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