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アメリカ市場で存在感が増す韓国や台湾、見る影もない日本

AKB人気が続く限り、コンテンツ産業は海外進出できない?

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 例えば、日本の音楽業界では、音楽業界のプロらがすべての業務を仕切るのに対し、アジアからの海外進出組は、一般的なビジネス同様、マーケティング/リサーチまではスペシャリストに依頼。市場調査やニーズ分析などを行った上で、制作物の方針を決定。そして制作側に方針が伝えられ、コンテンツの制作から発売後の公演や販促手法までを決定する。過去の経験や感性で成功を収めることができる、国内市場だけを主たる戦場としてきた日本国内のプレーヤーたちには、このような手法はなかなか受け入れられず、結果諸外国での市場争いには、製品を送り出す前の段階から大きな差を付けられてしまっているのである。

 アジア発ポップミュージック産業の欧米市場への進出は、現状ではまだ市場の小さな一角を占めるに過ぎないが、欧米諸国での事業経験が、今後大きな資産となっていくであろうことは、他の産業分野を見るまでもなく明らかなこと。日本は、このまま指をくわえて見ているだけでは、音楽産業分野、ひいてはコンテンツ産業全般において韓国、台湾、香港をはじめとするアジア諸国になす術のないまま、確実に衰退の一途をたどることとなるだろう。AKBが国内で人気を博すほど、実は国際的なマーケットからはじわじわと乖離していくこととなりかねないのである。

 そして「より良いものを提供すれば売れるはず」といった考えは、日本に蔓延する危険な思想だ。今我々の身の回りに、的確なマーケティングと格安のコストで製造されたアジア諸国製の製品がどれだけあるか、改めて見回していただきたい。マンガやアニメ、そして音楽を代表とするコンテンツ産業も、このような状況にならないと誰が言えるだろうか。そもそも自国内マーケットのみに焦点を当てているコンテンツでは、やはり海外での争いには力不足。そうこうするうちに、他国に後れをとり、海外での経験もないままとなってしまい、より良いものをつくろうにも、そもそもの素材さえ持ち合わせていないということとなりかねない。そして、今はまだ日本発のコンテンツは、そのクオリティも信頼度も驚くほど高いものを維持している。今ならまだこの優位を、より堅固なものにできるはずだ。
 
 コンテンツ産業も、「AKB式ビジネス」のような国内向け規格から、一日でも早く「国際規格」を目指すべきだ。
(文=田中秀憲/NYCOARA,Inc.代表)

●田中秀憲(たなか・ひでのり):NYCOARA,Inc.代表
福岡県出身。日本国内で広告代理店勤務の後、99年に渡米独立。04年、リサーチ/マーケティング会社、NYCOARA, Inc.を設立。官庁/行政/調査機関/広告代理店などのクライアントを多く持ち、各種調査や資料分析などを中心に、企画立案まで幅広い業務をこなす傍ら、各メディアにて寄稿記事を連載中。小泉内閣時代には、インターネット上での詐欺行為に関するレポートを政府機関に提出後、内閣審議会用資料として採用され、竹中経済産業大臣発表資料の一部となった。

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