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巨額なリストラ費用も、中村・大坪社長時代の負の遺産の前に効果なし

注力事業軒並み低迷、主力事業見えず…パナソニック復活のカギ

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 これだけの巨額の赤字決算に転落した最大の責任は、これらすべての事業を決断し、推
進してきた中村邦夫元社長、大坪文雄前社長ら当時の経営トップにある。特に赤字決算のほとんどが中村・大坪時代の事業失敗やその減損処理に充てられていることを考えると、2人の経営責任はきわめて重大だ。

 津賀社長はまずもって2人の経営責任を明確にし、度重なる経営判断のミスを連発した「中村・大坪時代の経営戦略の徹底的な否定」から出発しなけばならない。そうしなければ、社内に後ろ向きの無責任体質が生まれ、真面目で優秀な社員もやる気が起こってこないだろう。特に中村元社長は、社内で「中村天皇」と言われ、経営判断や人事権限を集中させた超ワンマン経営を行ったことにより、以前のように社員が率直かつ闊達にものが言えた自由な雰囲気がなくなった責任は、非常に重いものがある。

●日本の強みを生かす

 パナソニックは、これまでの事業構造やビジネスモデルを根本から変革しない限り、赤字体質から脱却するのは難しい。家電産業(特に白物家電)はすでに成熟産業になっており、技術の標準化が進み、製品の差別化も難しく、価格競争が勝負のコモディティ(汎用量産型)産業で、日本の家電メ-カ-が国内・海外市場で中国、台湾、韓国など新興国のメ-カ-と競争して勝ち残るのは難しい。確かに同社の白物家電は営業収益こそ13年3月期も黒字であるが、もはや決して収益性の高いビジネスとはいえない。これからは、もの造りそのものに価値や利益の源泉を求めるのではなく、もの造りの捉え方、価値観、常識を根本から変えることだ。

(1)「ライフイノベ-ション=消費者の生活革新に役立つ」の実業としてのもの造り
(2)「ライフソリュ-ション=消費者の課題解決に役立つ」の実業としてのもの造り
(3)「ライフサポ-ト=高齢者などの生活支援に役立つ」の実業としてのもの造り

 すなわち、これまでのように製品の性能・機能・品質・価格に、価値や利益の源泉をおいたもの造りではなく、消費者の生活上のイノベ-ション・ソリュ-ション・サポ-トにより大きな価値や利益の源泉を求めるもの造りに大転換すべきである。

 幸いなことに、この分野はパナソニックをはじめ日本の家電メ-カ-の得意とするところであり、中国など新興国がまだ手をつけていない分野である。IBMやアップルが、物理的なもの造りからソリュ-ション・アプリケ-ションの実業としてのもの造りに価値や利益の源泉をおいたメ-カ-に大胆に変身したように、パナソニックがどこまで企業変身できるかが生き残りのカギを握る。

 上記の(1)(2)(3)の視点から、今後有望と予想されるのは、製品寿命が長く、消費者の生活インフラに密着し、新興国に比べて競争優位性があって、利益率も高い冷蔵庫、空調、照明、メンテナンスサ-ビスなどの分野であろう。それと新たな市場の開拓だ。 

 今、パナソニックにとって最も大切なことは、もの造りの価値観や常識を大胆に変えることではないか。
(文=野口恒/ジャーナリスト)

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