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トラブルゼロ、希望者殺到…人気シェアハウスの秘密

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 入居者間のトラブルは、まったくない。管理・運営の秘訣の1つは、入居希望者に対し行われる面接だ。最低限のルールを守って共同生活できる人しか、入居を認めていない。例えば、使った食器は洗っておくとか、食料や調味料などの私物は個人のロッカーに入れておくなど、キッチンのような共有スペースでは最低限のマナーがある。また、外から友人が遊びに来る際は、リビングに置いてある連絡用ノートにあらかじめ書いておくのもルールだ。入居希望者の人物像を見極める目が、大きなポイントになるのである。

 シェアハウスの管理・運営に慣れていない業者が、一般賃貸の部屋貸し気分で安易に始めると、入居者間やシェアハウス内でトラブルが起きる可能性もある。管理が悪いとゴミが散乱して不衛生になったり、設備が壊れるなどして、結果的に入居者が居着かなくなり、物件の資産価値も下がってしまう。適切なルールを設け、こまやかに気を配れる管理体制が必要というわけだ。シェアハウス運営会社の中には、自社の社員が管理人兼務で物件に住んでいる例も少なくない。

●メール世代が求めるリアルなつながり

 不動産のオーナーにとって、物件をシェアハウス化するメリットは、アパートやマンションよりも入居率が高いということに尽きるが、入居者から見たメリットは何か?

 シェアハウスの入居者層は、どこも女性が圧倒的に多い。約7割が女性という統計もある。男性に比べてテリトリー意識が低く、他人との共同生活に抵抗感が少ないということだろうか。男性よりも一人暮らしの危険性が高いので、大勢で暮らしたほうが安全と考える女性が多くても不思議ではない。また、都会で娘を一人暮らしさせる親にしてみれば、シェアハウスのほうが安心なのはまちがいない。年齢的には、男女問わず、20代前半~30代前半で全体の8割強を占めているらしい。

 一般的にシェアハウスの魅力として、「費用が安い」「入退去が簡単」「コミュニケーションが広がる」「一人暮らしより安心感がある」などが挙げられる。冷蔵庫や洗濯機、キッチン用品などが共同で使用できるために準備する必要がなく、それだけ初期費用がかからないのは事実だが、月々の家賃は、実はそれほど安いわけではない。前述した「バウハウス南千住」は、4畳半と6畳の部屋があり、家賃は部屋によって57,000円~82,000円と異なる。この界隈のワンルームマンションの相場と比べて決して安いわけではないのだが、それでも満室状態が続いているのは、運営会社が生み出す「付加価値」の魅力なのだろう。

 取材したとき、「元麻布農園レジデンス」の入居者の1人は「震災以降、生活空間が閉じられた中で不安を感じるようになった。会社や家族以外のコミュニケーションが気持ちいい」と言っていた。おそらく、震災はきっかけの1つに過ぎないのではないかと筆者は考える。人間関係が希薄なインターネット全盛の時代、潜在的な寂しさを抱える若者は少なくないに違いない。20代の若者は、用件はなんでもメールで済ませる世代だが、だからこそ本当はリアルなコミュニケーションを求めているのだろう。

 シェアハウス入居者の勤務先の業種は、「通信・ITソフト開発」が比較的多くて全体の2割強だという調べもある。プログラミングのような仕事をしていたら、家に帰ってきたときに、誰かと話をしたくなるのは容易に想像がつく。時代が“個”に向かえば向かうほど、シェアハウスの人気が高まるのかもしれない。
(文=横山渉)

BusinessJournal編集部

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