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分社化を主導して経営を凋落させた神徳前社長の“自業自得”

橋下徹騒動を呼んだ、朝日新聞出版の“社内事情”

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 その結果、焦ってセンセーショナルな記事に走ろうとして誕生したのが、橋下氏の人権を無視した出自を暴く企画である。「週刊文春」や「週刊新潮」などの雑誌は、出版社の社員である編集者が外部の契約記者や作家を使いこなしているが、もともと朝日新聞出版は、海千山千の外部筆者を使いこなすエディターシップが高くない。さらに言うと、外部の作家もこれまでの付き合いの深さから文藝春秋や講談社、新潮社といった出版社を優先させて原稿を出すので、質の高い原稿を外部から取ることは期待できない。だから、一流のノンフィクション作家だと世間では見られている佐野氏も、「勝負原稿」を朝日新聞出版に出したわけではない。佐野氏にしては原稿の内容が薄かったという指摘すらある。

 こうした負の連鎖を招いた張本人が、出版部門を分社化した神徳氏ということなのである。社長が原稿を書いたわけでもなく、編集を担当したわけでもない。しかし、結局、神徳氏が出版担当取締役時代に、コスト削減だけを重視するだけで、肝心のコンテンツをどのようにつくるのかという戦略的かつ本質的な議論がないまま、分社化の方向へ向かったのが間違っていたのだ。

 そもそも神徳氏は、分社化した朝日新聞出版の初代社長になるはずだったが、構造的不況の中にある出版社の経営を切り盛りする「自信がない」という理由で火中の栗を拾うことから逃げた人物でもある。取締役退任後、常勤監査役に退き、今年6月の役員人事で2代目朝日新聞出版の社長に就いていた。自分がまいた「不幸の種」が巡り巡って自分の社長時代に「開花」してしまったというわけだ。このため、「自業自得」と言われ、朝日社内でも同情する人が少ないと言われている。

 神徳氏は朝日新聞で経済部を中心に歩んできた。早稲田大学大学院を出て1973年に入社。ニューヨーク特派員や朝日新聞労働組合委員長を歴任した「スーパーエリート」で、同じく経済部OBで消費者金融などと広告関連で癒着して、朝日ジャーナリズムを破壊した箱島信一元社長の側近中の側近である。

 朝日新聞は政治部と経済部が交代で社長を出してきたので、政治部出身の秋山秋太郎社長(現会長)の後は神徳氏が次期社長の有力候補の時期もあったが、箱島氏の威光を借りて態度があまりにも傲慢で「好き嫌い人事」を横行させたために、社内で敵を多くつくり、常勤監査役に失脚してしまった。この時も朝日社内では「箱島の威を借る神徳は、箱島の失脚とともに消え去った。自業自得だ」と言われた。「驕る神徳久しからず」と言う人もいたそうだ。天は神徳氏の「悪行」をまだ忘れておらず、今回の問題で、きつい「お灸」を据えたということであろう。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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