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有力候補だった大和総研・武藤理事長に暗雲

安倍政権で竹中平蔵日銀総裁に!? 迫り来る日銀人事舞台裏

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post_1094.jpgまさかの再浮上となるか?
 現在、記者・ジャーナリストによる企業人事取材のメーンターゲットは、次期日本銀行総裁と日本経済団体連合会会長だ。日銀総裁は2013年、経団連会長は14年に交代する。

 日銀総裁は国会承認人事のため、来年4月8日で任期満了になる白川方明総裁の後任人事は、年内に決める必要がある。本来なら今時分は、ポスト白川の下馬評で盛り上がるところだが、それがさっぱりだった。年末の衆議院解散が決まるまではそうだった。

「ポスト白川の大本命は、大和総研の武藤敏郎理事長でした。大手銀行の首脳たちも『学者肌の白川さんの後釜は、財政に明るい人がいい』と武藤待望論を口にしています」(全国紙の記者)

 また、有力な金融アナリストも「財務省は同省出身者で金融緩和にある程度積極的な姿勢を示しつつも、日銀による外債の購入に否定的な武藤氏を推す可能性が高い」と分析する。

 武藤氏は、財務省の初代事務次官を経て、日銀出身の福井俊彦前総裁の時(03年〜08年)に副総裁をやり、ポスト福井の最右翼だったが、財政と金融の分離を主張する野党時代の民主党が総裁就任を拒否した。日銀総裁の座は、日銀プロパーと旧大蔵省(現・財務省)事務次官経験者が交互に就くのが慣例となっている。08年には混乱の末に、日銀出身で京都大学大学院教授に転じていた白川氏に、そのお鉢が回ってきた。

 ところが、自民党・安倍晋三政権の誕生が秒読みに入り、日銀の総裁レースは、にわかに波乱含みとなってきた。「竹中平蔵・慶應義塾大学教授が起用される」とのサプライズ人事が金融界の一部で取り沙汰され始めた。“安倍首相”になれば、5年に1度の総裁の交代の機会を捉え、金融緩和に積極的な総裁を起用する可能性が高いというわけだ。その有力候補に竹中氏が浮上してくるとの読みである。

 安倍総裁は11月17日、熊本市で講演し、次の日銀総裁について「インフレターゲットに賛成してくれる人を起用したい」と述べた。しかし、自民党が勝っても衆参のネジレ国会は続く。政権党といえども、意のままに日銀総裁を決められるわけではない。

 インフレターゲットとは、簡単に言うと物価下落と不況の悪循環を断ち切るために一定の物価上昇率を決め、その目標を達成するまで金融の緩和を継続するということだ。安倍氏のインフレターゲットは、消費者物価上昇率で3%。白川・日銀は1%を物価上昇の目途(インフレターゲットとは口が裂けても言わない)としており、2%や3%の物価上昇率は現実的ではないと否定的な立場を貫いている。

 大胆な金融緩和という言葉から連想ゲームのようにして、小泉純一郎政権時代に金融相や経済財政担当相を歴任した竹中平蔵の名前が挙がってきたわけだ。竹中氏は4月、海外通信社によるインタビューで「中央銀行は市場からモノを買ってマネーを供給する。最も買いやすいものは中央銀行のバランスシートにとって最もリスクの小さい国債だ」と日銀による国債の買い上げに言及。「国債を全部買って、もう買うものがないというのであれば、外債などほかのものを考えればよい」と主張した。

 だが、竹中・日銀総裁説は正直に言って筋悪だ。仮に衆議院で自公が過半数を制したとしても、依然としてネジレ国会が続く参議院で竹中・日銀総裁が承認されることはないだろう。

 竹中氏にとって日銀総裁は願ってもないポストだろう。しかし、安倍氏を以前から支えてきた安倍応援団の財界人には、アンチ竹中派が多い。となると、日銀総裁は無理筋にしろ、「安倍政権が誕生すれば経済閣僚か官邸のスタッフに登用される可能性がある」ということになる。これが金融界の通説になりつつあるのだから驚きだ。

 日銀総裁の候補としては武藤氏のほかに09~10年まで財務事務次官を務めた丹呉泰健氏(現・読売新聞グループ本社監査役)や、今年8月に財務事務次官を退任した勝栄二郎氏。学界からは元日銀副総裁の岩田一政氏(日本経済研究センター理事長)、伊藤隆敏氏(東大公共政策大学院院長)の名前が挙がる。

 一方、もう1年先、14年の経団連会長人事は話題に事欠かない。

 経済部記者から出るのは「西田さんがなるんじゃないの」との見方だ。

 西田さんとは、東芝の西田厚聰会長のこと。3年前に御手洗冨士夫会長(キヤノン会長兼社長)から米倉弘昌氏(住友化学会長)にバトンタッチした時にも西田氏説が浮上した。「御手洗さんが西田会長にご執心だった」(経団連の元副会長)とされる。この時は日本商工会議所の会頭が、同じ東芝出身の岡村正氏だったことから立ち消えになった。主要経済団体のトップに、同じ時期に同じ企業の社長・会長経験者がなることはない、という不文律があるからだ。

「西田さんは、まだやる気満々です。米倉会長が、西田さんを自ら望んで自分の後継者にすることはないでしょうが、引き受け手が誰もいなくて、消去法で西田さんが残るということは十分にあり得る。再来年までには日本商工会議所のトップに変動があるともいわれている」

 しかし、3年前に候補に上がった人物が、再び有力候補とは……。財界リーダーの人材不足、その払底ぶりがわかろうというものだ。経済界のリーダーがダメだから日本株式会社も元気が出ない。

 ちなみに、次の次は「トヨタの章男さんで決まり」とか。2期4年の任期を考えると次の次は18年になる。豊田章男氏は09年にトヨタ自動車社長に就任している。社長任期10年弱で実力会長に退き、「世界のトヨタから経団連会長を出す好機到来」との解説がつく。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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