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「お金が貯まってから結婚しよう」では、お金は貯まらない?

家は賃貸、保険は不要、結婚は早く…ドラえもんにお金を学ぶ

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ーー本書の特長のひとつは、経済合理性に拠った結論を出した後に、その結論に納得できない人の感情というか、気持ちに関する部分にまで踏み込んでいるところです。

坂口 そこは意識して書きました。住宅の問題でも、「とはいうものの、やっぱりマイホームを持つという満足感は、お金では買えないよ」という気持ちは、多くの人に共通するものでしょう。私もそうした気持ちは理解できます。だからこそ、そう思ってしまう理由はどこにあるのか? を追求したいと考えました。その際、ヒントや答えは、やっぱり『ドラえもん』にあるんですよね(笑)。いろいろなエピソードを拝借することで、わかりやすくなった気がしています。

●保険はいらない

ーーそうした特長がよく表れているのが、生命保険や医療保険など、「保険」に関する3章ですね。

坂口 「万が一のときが不安だから、安心を買う」といった気持ちから、なんとなく保険に入っている人が多いと思いますが、果たしてそこに経済合理性があるのか? よく考えてみれば、生命保険であれ、医療保険であれ、起きる可能性が非常に低い「万が一」に備えて保険料を支払うよりも、その分を貯蓄に回すほうが現実的な合理性が高いと言えます。加えて、生命保険を例に挙げると、収入の柱である男性が死亡した場合、残された妻子には遺族年金が支払われます。こうした公的な援助と貯蓄を十分に活用するほうが、より合理的ではないでしょうか。どうしても入りたければ、都民共済のような安価な生命保険に加入すればいい。資産が少ない人ほど、そうすべきだと考えています。

ーー坂口さんは保険に加入しているのですか?

坂口 私は、子供を含めて家族がいますが、生命保険にも医療保険にも入っていません。ちなみに、家も賃貸ですし、もっぱら貯蓄に励んでいます(笑)。

●早く結婚する

ーーその次の4章では、「結婚」について語っていらっしゃいますが、こちらは、結婚するほうが合理的な選択であると。

坂口 はい。最大の理由は、2人で暮らしたほうが、生活費がかからないからです。人事院が公表している統計データによると、月の生活費は全国平均で一人世帯12万円に対して、二人世帯は16万円となっています。2人の男女が別々に暮らしていたら、月の生活費は12万円×2人=24万円かかりますが、2人一緒に暮らせば16万円で済むので、8万円生活費が浮くことになります。経済合理性を求めれば、早めに結婚するほど貯蓄が増やせることになります。

ーーお金が貯まってから結婚しよう、というのではなく、お金を貯めるためには結婚したほうがいい、ということですね。

坂口 かなり凡庸な結論で恐縮なのですが(笑)。今は未婚率が高まっています。その原因のひとつには、結婚相手の男性に求める条件として「経済力」を挙げる女性が、非常に多いのです。9割以上の女性が条件としているというデータがあるくらいですから。そのため、恋人がいるのに結婚しない女性も増えているのですが、そういう人たちには、結婚によって生活のコストが下がることを強く訴えたいと思います。低く見えてしまう彼氏の年収でも、十分結婚生活を続けることができるんだ、ということを。

ーー彼氏の年収が上がることを待っているくらいなら、さっさと結婚したほうがいいと。これは、強くアピールしておきたいですね。

坂口 5章のタイトルは「子供を持つなら家を買うな」となっていますが、子供を育てるコストが、持ち家を買うコストとほぼ同じになっていることを解説しています。子育てと家の購入を両立させることは、かなりハードルが高いことを知っておいてほしいです。

ーーその高いハードルを越えるためにも、早く結婚をしたほうがいいというわけですね……。

坂口 繰り返しになりますが、子供を持たないほうがいい、と言っているわけではありません。子供がいて家を買うにはそれなりの覚悟が必要です、と主張しているのです。人生のコストは冷静に計算すべきだと思います。

ーー6章は「転職」「起業」がテーマですが。

坂口 自分の経験をベースとして、転職あるいは起業を考えている人の参考になればと思って書きました。経済合理性うんぬん、というよりも、心構えについての解説といえましょうか。転職、起業を考えていた人で、この部分を読んでやめようと思ってしまった人は、やはりやめたほうが無難でしょう(笑)。まだ、時期尚早の段階だと思います。
(構成=松岡賢治/ファイナンシャルプランナー)

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●坂口孝則(さかぐち・たかのり)
関西の某国立大学卒業後、携帯電話メーカーへ。購買部に配属される。バイヤーとして担当したのは200社以上。株式会社アジルアソシエイツ取締役、未来調達研究所取締役(現職)。バイヤー同士の情報交換ができる場、購買ネットワーク会発起人。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。メルマガ「世界一のバイヤーになってみろ!!」代表執筆者。コスト削減のコンサルタント、調達業務研究家。物流コンサルタント。

BusinessJournal編集部

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