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ソフトバンクはブラック企業か?高待遇、孫社長に逆らえない…

文=新田龍
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ソフトバンクはブラック企業か?高待遇、孫社長に逆らえない…の画像1ソフトバンク本社機能が所在する 東京汐留ビルディング (「Wikipedia」より)

 世の中には「就職人気ランキング」に対して、「ブラック企業ランキング」、もしくは「不人気企業ランキング」といったものが存在する。しかし、ランクインされている企業を見てみると、私が定義するところの「ブラック企業」に該当しない企業が含まれていることがある。内情は優良企業でさえあるのだが、その企業が属する業界や、一部の個別企業によるダーティなイメージが投影しているものと考えられる。そのような企業を採り上げ、「何がブラック企業イメージの原因か」「実際はどうなのか」について、多角的に分析していく。

【3】ソフトバンク

 不人気企業でも、活躍して充実した社会人生活を送る人はいるし、人気企業に入りながらも「こんなはずじゃなかった…」と不満を募らせる人もいる。親の期待や友人からの評価も大事かもしれないが、そこで働くのはあくまで自分自身なのだ。ほかならぬ自分自身の判断基準で、主体的な判断をして然るべきである。

 さて皆さんは「TOPIX Core30」(トピックス コア30)という株価指数をご存じだろうか。東証一部の全銘柄のうち、時価総額、流動性の特に高い30銘柄で構成された株価指数のことだ。すなわち、この30社はほぼイコール「日本の大企業トップ30社」であるといえる。

 具体的には、次の企業が構成メンバーである。

 日本たばこ産業、セブン&アイ・ホールディングス、信越化学工業、武田薬品工業、アステラス製薬、新日本製鐵、小松製作所、東芝、パナソニック、ソニー、ファナック、日産自動車、トヨタ自動車、本田技研工業、キヤノン、任天堂、三井物産、三菱商事、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、東京海上ホールディングス、三菱地所、東日本旅客鉄道、日本電信電話、KDDI、NTTドコモ、関西電力

 どうだろう。もう名前を聴くだけで誰もが知っている大企業ばかり。とても、この中にブラック企業が入っているとは思えない。

 さて、上記に名前が挙がったのは29社。30社目はどこだろうか。その会社こそ、今回採り上げる「ソフトバンク」である。コア30の中では唯一のITベンチャー企業だ。

 同社はいまだにITベンチャー企業というイメージが強いが、もう創業から31年目となる、業界では老舗企業である。規模も巨大であり、2012年3月期のデータでは資本金1,887億5,000万円、連結売上高3兆2,024億3,500万円、連結従業員数は2万1,858名だ。現在、連結子会社117社、持分法適用関連会社73社を数える大グループを形成している。

 同社の創業から現在までの様々なストーリーは多々語られているので、本項では同社が「必ずしもブラックとは言えない」面について、いくつかの事実を記載していこう。

高年収

 全上場企業を対象にした「30歳時点での平均年収ランキング」では、全上場企業中堂々の「9位」、811万円。

ツイッターなどで「やりましょう」と公約したことを、続々「できました」に】

 私は常々、企業は「言っていること」と「やっていること」が合致していなければならないと主張しているが、同社では着実に言ったことをやったことにしている。

キャリア開発・支援制度が充実

 ジョブポスティング(社内公募)、資格取得支援制度、自己申告制度(社員がチャレンジしたい業務を自己申告できる)、エルダー制度(新入社員に対し育成担当を設けてサポートする)など、豊富に整備されている。

休暇制度が充実

 有給休暇は勤続年数に応じて増加。7年目以降だと年間20日取得可能。その他、有効期間(2年)を過ぎた有給休暇を「積立年休」として最大60日までプールでき、特別有給休暇として結婚休暇、配偶者出産休暇、子女結婚休暇、アニバーサリー休暇、リフレッシュ休暇、忌引休暇、転勤休暇、公務休暇、災害休暇、交通遮断休暇、召還休暇、ドナー休暇、ボランティア活動休暇、公傷病休暇など多数用意されている。

その他福利厚生も充実

 社員持株会、財形貯蓄制度、確定拠出年金制度、関東ITソフトウェア健康保険組合の保養施設利用権、高級感あふれる社員食堂、ウェルネスセンター(汐留本社にあるマッサージや産業医・カウンセラーとの相談ができる施設)など多数。

出産・育児のための休暇・休業・時短勤務制度も充実

 以下のとおり、豊富な休暇・休業制度が用意されている。

 ・産前・産後休暇(産前6週間/産後8週間)
 ・マタニティ通院休暇(妊娠中〜産後1年未満)
 ・配偶者出産休暇(配偶者の出産予定日1週間前〜出産後1カ月以内。5日間の有給休暇)
 ・育児休業(子の1歳の誕生日の前日まで)
 ・看護休暇(子の小学校就学前まで子1人につき年間10日間)
 ・キッズ休暇(子の人数に関わらず、子の小学校卒業時まで年間10日間)
 ・短時間勤務(1日最大2時間45分まで労働時間を短縮して勤務可能)
 ・フレックスタイム勤務(コアタイム10:00〜16:00、フレキシブルタイム7:00〜10:00および16:00〜22:00)
 ・繰上勤務(始業時刻を9:00から15分単位で繰上可能)
 ・繰下勤務(始業時刻を9:00〜10:00の間で、15分単位で繰下可能)時間外勤務の制限(1カ月について24時間、1年について150時間を越えた時間外勤務が免除)
 ・深夜業の制限(22:00〜翌日5:00までの深夜業を免除)

有名な「出産祝金制度」

 勤続1年以上の正社員を対象に、第1子:5万円、第2子:10万円、第3子:100万円、第4子:300万円、第5子以降:500万円を支給。

「子供向け携帯電話」端末の無料配布および基本料金の免除

 勤続年数1年以上の正社員の小学校在学中の子どもを対象に、ソフトバンクモバイルの携帯電話機を無料で配布。親の在職期間中、基本料金は無料。

 待遇面だけでもこれだけの項目が挙げられる。これらはやはり、「大企業の余裕」がない限り実現できないことばかりである。

 私自身の周囲にも、同社社員が多数いる。おしなべて聞こえてくるのは「比較的待遇はよい」「仕事にはやりがいがある」「女性管理職も比較的多く、働きやすい環境」といったコメントだ。もちろん一方で「社長の意思には逆らえない」「残業は相応に多く、それに応えられないと出世は望めない」という実力主義的な面も確かに存在する。双方のメリット、デメリットを理解する人にとっては、働きやすい会社といえるかもしれない。

※本稿は、新田龍氏のメルマガ「ブログには書けない、大企業のブラックな実態」から抜粋したコンテンツです。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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