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年末企画 この1年この会社の収支決算II

日立V字回復の舞台裏…“異例”人事と“大胆”グループ再編

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 中西は不採算事業から次々と撤退していった。10年、NECなどとの合弁会社に携帯電話事業を移管。液晶事業を合弁先のパナソニックに売却。11年、長年の懸案だったHDD(ハードディスクドライブ)事業の売却を決定。中小型液晶事業は東芝、ソニーと統合した。

 12年にはテレビの自社生産から撤退。日立金属と日立電線の合併。三菱重工業と火力発電事業の統合を発表。14年1月に新会社を設立する。

●三菱重工との経営統合の裏に見える戦略とは?

 その一方で、原発事業会社である英ホライズン・ニュークリア・パワーを買収した。事業をシャッフル(再編・強化)する勢いはとどまるところを知らない。

 この間にフライングもあった。

 もともとは三菱重工と日立が経営統合するという超弩級のプランが、11年8月4日に記者会見して発表されることになっていた。世界最大規模の社会インフラ企業が誕生するはずだった。

 だが、日本経済新聞が11年8月4日付朝刊1面トップで「日立・三菱重工統合へ」とスクープして、共同記者会見はパーになった。

 4日朝、社長の中西が東京郊外の自宅から姿を見せた。日経が報じたスクープについて、その真偽のほどを尋ねられた中西は「夕方に(統合を)発表する」と明言した。記者会見がセットされていることを示唆したのである。

 テレビ各社は「日立・三菱重工統合」のニュースを速報で流した。ここから大混乱が始まった。合併や統合については、正式発表までトップはコメントをしないのが普通だ。ところが、中西はテレビカメラの前で「はい」と統合を認めた。しかも、事業統合ではなく、日経が書いた通り、企業規模が大きい日立が三菱重工を呑み込むかたちでの経営統合だと、記者たちは認識してしまった。事業統合と経営統合では、まるっきり意味が違う。

 日立に経営統合されると報じられた三菱重工側はカンカン。「統合について合意する予定はない」ときっぱり否定したうえで、報道に対して「極めて遺憾。断固抗議する」と強いコメントを出した。重工の2人の相談役が「そんな(=経営統合)話、聞いていない」とヘソを曲げてしまうというオマケまでついた。かくして、統合の発表は幻に終わった。

 だから、今回の火力発電事業統合は、水入り後の仕切り直しである。あれから1年4カ月、両社は電力事業の統合にやっとたどり着いた。さすがに中西がテレビカメラの前で口を滑らせることもなかった。

 中西が事業の切り離しに力を入れるのは、売上高10兆円規模の企業になると、必ず根っこが腐る事業が出てくるからだ。「常に捨てていかないとダメだ」と心している。

 快刀乱麻に切り捨てていくのだから、グループ内の反発はものすごいものがある。再建の要諦を尋ねられた中西は、こう答えている。

「僕の言うことを聞かない人には、お引き取りいただくだけです」

 三菱重工業と日立製作所は、14年1月をメドに火力発電所のインフラ事業を統合することで基本合意した。新会社への出資比率は、三菱重工が65%で、日立が35%。主導権を三菱重工に渡すことになるが、中西は気にも掛けていない。

 それというのも、英ホライズン社の買収で布石を打った原子力事業が、早晩、重工との新会社に統合されことになるとの読みがあるからだ。

BusinessJournal編集部

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