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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第12回

大手新聞社トップ暴露トーク…優秀な記者不要、リークが一番

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 「それにだな。仮に暴露されても、事実無根と抗議して訴えればいい。盗聴テープがあっても、証拠としては使えない。盗み聞きされても、そんな話はしていないって、突っぱねればいい。4人が口裏を合わせれば、相手は立証できない。裁判所は我々の味方なんだ」
 「社長、そこまで考えているんですか。すごい」

●リークに頼る

 ジャーナリズム精神に逆行する松野の発言に対し、今度は北川がちょうちんを持った。単細胞な松野が満面に笑みをたたえ、頷いた。

 「君たちもわかるだろ。仮に本当のことでも、立証できなければ記事にしないほうがいいんだ。リークに頼っていれば、その心配はない。優秀な記者はいらない、という村尾君の意見は正しい。うちは大所帯だから、完全に切るところまでやっていないだけだ」

 松野はこう言うと、腕時計を見た。

 「もう午後9時を過ぎているじゃないか。そろそろ、今日はおしまいにしよう。次回は1週間後、時間は後で連絡するよ。小山君、ちょっと女将を呼んでくれ」

 小山が立ち上がって、声をかけた。しばらくして、老女将が部屋に入ってきた。

 「もう鍋はお済みですか」
 「ふむ。ちょっとな、野暮用で俺は出ないといけない。でも、雑炊はできるんだよな」
 「ええ、できますよ」
 「俺は食わずに出るが、どうする?」
 「雑炊をいただいて帰ることにしましょう」

 村尾が代表して答えた。

 「じゃあ、用意してくれ」

 松野は立ち上がった。老女将が「お足は?」と聞くと、「いらない。大通りに出てタクシーを止める」と言って、唐紙を開けた。すると、小山が後ろから声をかけた。

 「松野社長はカラオケがプロ並みだという噂ですけど、一度、きかせてください」
 「すべてうまくいって、4人で打ち上げする時な。たっぷりきかせるぞ」

 ニンマリした松野は振り向いてこう言い放つと、そそくさと部屋を出て行った。
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週1月5日(土)掲載予定です。

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BusinessJournal編集部

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