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幻想に踊らされた人たち

“スキルアップ幻想”の終焉…会社にしがみついたほうが得?

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 このように、1つの組織で、ごちゃごちゃ言わずに頑張っていれば、想像もつかない先進的な知識が学べたり、自身のスキルが飛躍的に上がる可能性があるわけです。

ーーそういう日本企業の良さが認識され、外資系企業から日本企業への回帰が起きているようですね。

佐藤 いわゆるリーマンショック以前は、新卒、中途にかかわらず、とにかく外資系企業を目指す人が多かったですね。でも、その傾向はリーマンショックを境に様変わりしました。今や、外資系で働いている人で、日本企業の中途採用に応募する人の数が増えてきています。

 私は、日本企業から外資系に行くのであればいいのですが、外資系企業から日本企業に移っても、それほどうまくいかないのではないかと思っています。カルチャーが違いすぎますよね。外資系の成果主義から、和を乱すなとか、会議は議事録通りにやろうとか、日本的な全体主義にうまく改宗できるかどうか……。

●営業力があり、勉強できる人だけが資格取得を目指すべき

ーー本書では、どういう資格でも、取ればうまくいく、スキルアップできるわけではないと書かれていますね。

佐藤 「資格を取れば大丈夫だ、なんとかなる」と思っている人が多いのですが、資格を取得しても、その資格団体は、お客様を紹介してくれません。

 資格取得を目指す人には、営業が嫌いで、人にモノは売れないけれども、勉強ならできるというので、いわゆる「資格に逃げる」傾向がありますね。でも、その資格で生きていくということは、一匹狼でお客様を自分で探していくことからのスタートになるわけですから、営業力があることが大前提で、かつ勉強のできる人しか、資格取得を目指す意味はないのです。

 ただ、親が開業医や税理士で、親の人脈を引き継げる人は、営業する必要はないですから、資格を取ったほうがいいと思いますね。お父さんがそろそろ引退する年齢であれば、そのまま引き継がせてもらえばいいですからね。親の力で仕事は来ます。ですから、そういう職業の人には二世が多いのです。

●“脱スキル”で幸せな仕事人生をつくるための仕事術

ーー幸せな職業人生をつくる仕事術の1つとして、「仕事を選ばない」ということが書かれていますが、言われたらなんでもしろということですか?

佐藤 そういう世の中がいいとは思っていないのですが、現実はそうだということです。

 「その仕事には興味がない」「それをやると、なんのスキルになるのですか?」と、いちいち仕事を選んでいる人は、日本企業では真っ先に嫌われます。自分が本当にやりたい仕事というのは、仕事が100あれば、その中に1つあればいいほうです。99の仕事はおもしろくない。でも、若手のうちは、耐えなければなりません。そうすることのできた人が、ある程度の年齢になってから、やっとおもしろい仕事ができる、それが日本企業の仕組みなのですから。

 上司からしてみても、振った仕事を素直に「やります」と言っている部下は、可愛いに決まってます。それで、気がついたら仕事が殺到していて、しかも上司にも気に入られて、知らず知らずのうちに出世していくわけです。

 日本を代表するある大企業の役員が言っていましたが、スキルアップ族のような人は昔からいたそうで、そういう人は、すごくエッジの効いた先進的なことを言って、先頭を突っ走るのが好きな人が多かったのですが、だいたい失敗したそうです。「自分は何もしないで、常に二番手くらいにいたので、気がついたら役員になっていた」と、その方は述懐していました。

 日本企業には、そういうケースが多々あります。だから、長い目で見れば身近なところで信用を重ねていったほうが、明らかに得だと思いますよ。

――それから、「転職に逃げない」ことの重要さも挙げていますね。転職というと、「チャレンジ」というような、いい意味でポジティブにとらえられているのではないですか?

佐藤 不満があるから転職するわけでしょう。不満がまったくなくて、スキルアップしたいからという理由だけで転職しますか? そういう部分も少しはあるかもしれませんが、上司が嫌いだとか、仕事がいやだとか、そこには何かしらもっと大きな理由があるはずです。

 スキルアップ族は自分で無理やり変わろうとしているのですが、じっとしていても世の中は勝手に変わるし、会社も、上司も変わっていく。自分一人で無理に変わろうとする必要はないと思いますね。

 ある人とチームを組んで仕事をするような場合に、たまたま優秀な人とチームを組んだことでいい成績を残せたりすると、自分に対する評価も上がりますし、もちろんその逆もあります。自分を無理に変えなくても、自分は変われるということです。

●自分が動け

ーー本書では、「人を使うのでなく、自分が動くことが大切」とも書いていますね。

BusinessJournal編集部

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