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『四〇〇万企業が哭いている』著者・石塚健司氏インタビュー

巨悪を撃つべき“身勝手”検察特捜部が、中小企業を潰した訳

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巨悪を撃つべき“身勝手”検察特捜部が、中小企業を潰した訳の画像1『四〇〇万企業が哭いている』
(講談社/石塚健司)
 平成不況真っ只中、ある中小企業経営者とコンサルタントの男性が逮捕された。

 この経営者とコンサルタントは会社の決算を粉飾し、融資金を引き出し、会社の運転資金に回していた。会社を潰すまいという一心で、地道に経営努力し、つい不正に手を染めてしまった経営者。その経営者を支えるために、相談に乗っていたコンサルタントは通常のコンサルティング料以外は受け取っていたわけでもなく、両者ともに贅沢をしていた形跡もない……。

 2011年に元銀行マンで中小企業向けコンサルティングをしていたコンサルタント・佐藤真言氏と衣料品製造卸売り会社を経営する朝倉亨氏が、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕・起訴された。容疑の発端は、朝倉氏の会社の決算書を粉飾し、保証協会の景気対応緊急保証制度や東日本大震災復興緊急保証制度を利用した保証付き融資1億1300万円を銀行から受けたこと。粉飾決算をし、銀行から融資金を受け取ったことは許されることではないが、大型経済事件などを担当してきた東京地検特捜部が扱い、朝倉氏の会社を潰すほどの事件だったのか?

 そんな疑問のもとに、産経新聞多摩支局長で、過去にも『特捜崩壊』(講談社文庫)などの著作もある石塚健司氏が関係者への取材をもとに執筆したのが『四〇〇万企業が哭いている ドキュメント検察が会社を踏み潰した日』(石塚健司著、講談社)だ。

 崩壊が叫ばれる検察のエゴが露呈し、取り調べの際に特捜検事が「中小企業が100万社潰れても関係ない」と言い放ったというこの事件について、著者の石塚氏に

 「捜査途中で撤退しない特捜部」
 「特捜部と裁判所の関係」
 「その後の裁判の様子」

などについて聞いた。

ーーはじめ、東京地検特捜部の捜査を受けていた佐藤氏から、特捜部に詳しい石塚さんへ手紙が送られ、同氏が逮捕される1カ月前に喫茶店で具体的な話を聞いたそうですが、その時にはまだあまり興味を持てなかったそうですね。それなのに、書籍を書き上げるまでに至ったキッカケはなんだったのでしょうか?

巨悪を撃つべき“身勝手”検察特捜部が、中小企業を潰した訳の画像2石塚健司氏
石塚健司氏(以下、石塚) 2011年8月に佐藤氏から手紙が届きました。その手紙の内容や実際に喫茶店で会ったときに聞いた話がすべて事実だとしても、東京地検特捜部は事件性がないと判断し、捜査を打ち切るのではないかと思っていました。とても逮捕状が出るまでには至らないのではないかと。

 ところが、その後捜査が進展し、同年9月には佐藤氏、朝倉氏が逮捕された。「どうしてこの事件を特捜部が捜査するのか」「これでは弱いものいじめではないか」と思い、この事件に興味を持ちました。佐藤氏が実際に逮捕された日、ちょうど私は彼の上申書を提出するため検察庁に出向きました。

 上申書の内容は、捜査対象とされた朝倉氏の会社の経営状況などの事実、そして中小企業が一度赤字を計上すると資金調達の道が絶たれてしまうという問題点。また従業員の生活を守るため事業継続のために必死になっている中小企業経営者の姿が書かれていました。そんな中で会社や従業員のために粉飾決算に手を染めたとしても、会社が潰されたり、経営者として復帰できなくなるような厳罰が下されることはあってはいけないと思ったんです。

 そうした上申書を提出した以上、責任をもって最後までこの事件を見届ける必要があるという思いもありましたし、佐藤氏の逮捕をキッカケに、あらためてこの事件とはなんであったのかということを考え始めました。

ーー今回の事件の背景には、日本の中小企業の7割超が粉飾決算をしているという根深い問題があると思います。佐藤氏の上申書でも書かれていた通り、一度でも赤字を計上すると銀行からの融資等が受けられず、会社の資金繰りが悪化し、最悪倒産してしまう。そこで中小企業は粉飾決算をしてしまうと。

BusinessJournal編集部

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