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安倍政権、金融緩和による円安・株高政策が見落とすワナ

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 こうした教訓から考えても、金融緩和策による円安・株高は、バブルと同じようなもので、日本企業が抱える構造的な課題を覆い隠してしまうし、改革の意欲も削ぎかねない。企業が利益を増やしていくには、構造改革をして生産性を向上させるなど自助努力が第一のはずだ。マクロ政策はあくまでその補助に過ぎない。

 金融技術を使って実体以上の経済メカニズムを創り出すと、そこに綻びが生じた際に被害が大きくなる。サブプライムローンでは金融技術を使って実需以上の市場を創ってしまった結果、破たん後の影響も想像以上に大きかった。自動車産業でも、米国市場では毎月の支払額が少ない残価設定型リース商品を開発することで、高級車を低所得者に売ったが、金融技術で創った市場は脆く、リーマンショック後の「谷」は深かった。

●円高を“利用する”

 行き過ぎた円高がよくないことは百も承知である。しかし、環境の変化に対応する自助努力を行うこと忘れてはいけない。円高を利用して海外への投資を増やして、海外で利益を出し、日本に配当して、日本の基盤を守る戦略だってある。そうした狙いから神戸市は12年7月、行政直営で「アジア進出支援センター」を設立、中小企業の海外進出を支援している。日本は今、時代の変化に合わせ、自助努力する企業を助ける政策が必要な局面にある。

 一方、兵庫県では、パナソニックのプラズマや液晶工場に補助金を出したが、すぐに稼働を停止したことなどにより、補助金を雇用や新たな税収で「回収」することができなかった。大企業の誘致という従来の政策は行き詰っていることの象徴的な事例だ。

 第一次安倍政権は、小泉純一郎氏から政権を受け継ぎ、渡辺喜美氏(現みんなの党代表)を閣僚に起用するなどして、構造改革路線を受け継いだ。今回の第二次安倍政権は、挙党一致とはいえ、「小泉改革」を支えた人たちもブレーンについている。構造改革をしないで金融緩和策だけで景気がよくなるとは思っていないはずだ。企業の自助努力を促さない金融緩和策は「護送船団方式」で国が業界を守るにも等しい愚行だ。

 構造改革なしでは円安の効果は薄いし、場合によっては「劇薬」になる可能性すらある。繰り返すが、自助努力する企業や人たちを支援し、そこから新たな税収や雇用を生み出す政策こそが真の景気回復のために必要なのである。
(文=井上久男/ジャーナリスト)

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