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「タニマチ商法に頼らざるを得ない」――ゲームプロデューサーnbkzが実情を吐露

平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状

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人に薦めたい美少女ゲームNo.1は「腐り姫」とのこと。人に薦めたい美少女ゲームNo.1は
「腐り姫」(Liar-soft)とのこと。
ーーminoriのリリースは年間1本程度です。年に1本だけのリリースで、会社の運営は大丈夫なのですか?

nbkz  年間1本出せれば会社は回せます。とはいえ、他社さんも同じかと思うのですが、フルプライス作品として満足いくタイトルを1ライン当たり年間1本以上出すのって難しいんですよ。全てがオリジナルですので、シナリオはもちろん、キャラクターデザインや背景といった世界観など、いわゆる設定を作る時間を大きく費やさなければなりません。これを1年に何回もやるのは難しいものです。年間に複数出すブランドもありますが、これは複数の制作ラインがあるからで、会社全体として1タイトルで1万本売るのか、複数で1万本売るかの違いかと思います。

ーー12年末にリリースされた新作『夏空のペルセウス』の豪華特装版には特典がたくさんついていますが(※編注:ソフトのほかに、ボーカル曲収録CD 1枚、BGM楽曲データ収録DVD 1枚と、おまけ冊子が封入)、通常版と特装版では、どちらが売れた方が利益は出るのですか?

nbkz  特装版はおまけをたくさんつける分、コストが当然かかっています。利益だけを考えるのなら、通常版がたくさん売れた方がよいですね。でも美少女ゲームの売れ方って、ロングテール化しないんですよ。発売日からの3日間、金・土・日で売れるだけ売ってしまうんです。その3日が過ぎると、ソフトはほとんど売れなくなります。だからコストがかかっても予約初回特典をつけて、初動で買ってもらうことが大事なんです。そのタイトルが赤字になるか黒字になるか、受注の〆日で勝負が決まってしまいます。

ーー11年、12年と御社はB.G.M festival(※編注: 美少女ゲームブランド「OVERDRIVE」の代表bamboo氏主催による、美少女ゲーム楽曲による音楽フェス)にも参加されました。このフェスは全く新しい分野の音楽フェスで、NHKからの取材もあり注目度は高かったと思いますが、ソフトの売り上げに影響はありましたか?

nbkz  即効性のある、目に見える影響はなかったです。そもそもの趣旨が音楽フェスであって、ゲームファンというより音楽ファンが多く集まったイベントでしたから、それは仕方なかったのかもしれません。ゲーム主題歌は確かに強力な広報媒体ではありますが、歌だけでゲームが買われるわけじゃないんです。でも、minoriという名前は知ってもらえたと思うので、中長期的に見て、ブランディングという意味では成功したんじゃないでしょうか。いまの業界に必要な打開策としては、良いイベントだったと思います。

ーーアニメになるなど美少女ゲームが一般化している中で、アダルト要素を排除してPS3などにタイトルが移植されることについてはどうお考えですか?

nbkz  個人的には、あまり意味があるものとは思っていません。PCとPS2やPS3って、プラットフォームの観点からすればぶつかり合っている気がするんですよ。プレーヤーはイスに座ってモニターの前に固定されてやらなければならないわけですからね。もし同じプラットフォームでやるなら、何かしらの新しい要素、新しいCGを加えたり、新しいシナリオを追加したりしないとダメでしょうね。

 それに、移植作品ってなかなか売れないんです。本タイトルに対して50パーセント売れたら大勝利じゃないでしょうか。だけど元データがあるので、制作費が安く済むのは利点ですね。本体の制作費が5,000万円でも、移植作は1,000万円で作れたりするわけです。そうなると、あまり売れなくても黒字化はしやすいかもしれません。

●社員の平均年収は300万円に届かないほど厳しい現状

ーー90年代後半からインターネットの発展と共にPCが一般家庭にも普及し、テレビアニメ化なども手伝って美少女ゲーム自体は人知れず身近な存在となっていると思うのですが、実際の市場の傾向はどうですか?

nbkz  売り上げ自体は年々右肩下がりです。市場も縮小してますよ。制作会社は大小含めていまも200社近くあるようですが、どんどん減ってきていますね。PCが一般家庭に普及したとはいえ、盛り上がりを見せていた2000年頃でも美少女ゲームは10万本売れればスーパーヒット、3万本で大ヒット、2万本でヒットという狭い世界でした。それがいまじゃ1万本でヒットという世界にまで落ちました。1万なんて、未成年を除いた国内人口約1億人に対して、0.01パーセントでしかありません。結局、ほとんど誰も知らない、やったことがないのと大差ないんです。これはアニメの視聴率などと比較すれば、よくわかるかもしれません。

『すぴぱら STORY #01 - Spring Has Come!』 もっと評価されるべき。さもありなん。 amazon_associate_logo.jpg

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