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「タニマチ商法に頼らざるを得ない」――ゲームプロデューサーnbkzが実情を吐露

平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状

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minori最新作<br>『夏空のペルセウス』
minori最新作
『夏空のペルセウス』

ーー減少傾向になってしまった原因は、どう分析されますか?

nbkz  コンテンツが多様化してきたからじゃないでしょうか。いまはYoutubeニコニコ動画があって、ソーシャルゲームもあって、ゲーム機はPS3、PSP、3DSなどと多種多様にあります。それに伴って、時代の流れとして、スタンドアローンコンテンツが厳しくなってきたんでしょう。いまはオンラインで他人とつながってプレイしたりするものが増えているじゃないですか。でも美少女ゲームは、基本1人でやるものです。

 それに加え、いまは全てのコンテンツにスピード感が求められるようになってきたからだと思います。いまはテレビアニメですらスピード感が求められ、一昔前は4クール放送(放送期間が約1年)だったのに、いまではほとんどが1クール(放送期間が約3カ月)になりました。1クールの実放映時間は5時間程度です。それに比べて美少女ゲームは長い。1タイトルで読むテキスト量はだいたい1M(メガ)から2Mです。1Mのプレイ時間の目安は、だいたい18~20時間くらい。ボイスを飛ばし読みでもその半分くらいです。そうなると圧倒的にプレイ時間が長くて、時代の求めるスピード感とは相反するんです。他人と話題を共有し、輪を広げていくといった点において、プレイ時間が長すぎることはデメリットでしかありません。アニメや映画の評論に対してゲームの評論が少ないのも、この辺が原因のような気がします。

 ならば安く、短めのものを作ればいいかといえば、そういったものは美少女ゲームの市場では軽く見られてしまいがちです。企画にかかる労力を考えると、短いものを安く短期間で作ることは制作上のストレスにもなります。それを避けるために、ライトノベルや漫画などはひとつの作品を完結していなくともある程度たまったところで単行本として発刊し、コストを回収するのですが、美少女ゲームが同じことをすると“分割”と称され、避けられる傾向にあるようです。

ーー近年の秋葉原という街自体が活性化していき、オタク文化が一般化していったかと思うのですが、この流れと業界が連動して盛り上がるということはなかったのですか?

nbkz  ないですね。期待はあったのですが、結果的には購入層がまるで違ったんですよ。声優がアイドル化したり、アニメが数多く作られたり、ライトノベルが売れたりと、活性化したことは事実です。確かにオタク層の低年齢化は進んでいるんです。でも、若年層が買えるものは主に1,000円以下の商材なんです。要するにマンガとライトノベルまでで、さらにその層の話題の中心となるアニメは、テレビやネットで無料で観られるわけです。それに対して美少女ゲームは8,800円がメインで、最近では9,800円のタイトルも多い。初回特典版になると、10,000円を超えてくるものもあります。そうなると到底その層は買えないんですよ。そう考えると、美少女ゲームの購入層はそこではないということになります。支持層ではなく購入層というのがポイントです。

ーーここまであまり良い話がなかったように思うのですが、業界の平均的な年収ってどのくらいなんでしょう?

nbkz   平均でいえば、300万円を割ってると思います。400万円もらえているところは、ほとんどないんじゃないでしょうか。年収300万円って、ボーナスなしで月給25万円ですよ。現状でこれだけ出せるのは、ある程度以上売れているメーカーだと思います。もちろん大ヒットをすれば一時金が支給されたり、著名な原画家さんとかは副収入があったりもしますけどね。

 とにかくいまや何をしても儲からないのが、この業界なんです。だから当然年収は低くなります。3,000万円の制作費を回収するには、流通会社への卸値5割としても、フルプライス作品なら6,819本の売り上げがあって、ようやくトントンになります。でもいまの1タイトル当たりの平均販売本数は5,000本以下といわれているんです。未回収分をグッズの売り上げで補う考えもありますが、数千本しか売れなかったソフトより、低価格で売られるグッズの売り上げなんて微々たるものです。

 こんな状況だから、潰れてしまう会社が多いんです。ヒット作を出しても、10年続いても、すぐに赤字転落して消滅するなんてよくあります。minoriだって『すぴぱら』をリリースした直後は、本気で解散すると思っていました。

ーー『すぴぱら』は売れなかったんですか? 全年齢作品に挑戦という点はあったにしろ、実にminoriらしい良作だったかと思うのですが......。

nbkz  期待の半分程度しか売れなかったんですよ。残念ながら今回のチャレンジは実を結びませんでした。事業を拡大させるために新しいことに挑戦すべきなんでしょうけど、基盤が脆弱な企業が全力で手を出すのは大きなリスクを負うということです。成功するにはリスクを負うのは当然ですが、やはり足元を固めることは重要だと再認識しました。そこで初心に戻って制作した『夏空のペルセウス』で多少は盛り返すことができたのですが、1本で会社が揺らぎ、1本で持ち直す程度の規模で動いているということの方が問題だと思います(苦笑)。

『すぴぱら STORY #01 - Spring Has Come!』


もっと評価されるべき。さもありなん。

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