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アジア新興勢に惨敗のパナソニック、シャープは、自動車メーカーの将来像?

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 製造業の経営には2つのタイプがある。1つは、種を播き、稲を育て、米を実らせる米づくりのように、時間をかけて自らの技術を磨き、製造業の経験と努力をコツコツと積み重ね、高い品質のものづくりを実現する「農耕型ものづくり」である。もう1つは、獲物の在りかを見つけたら、さまざまな猟具を用いて獲物を一気に捕獲する狩猟のように、競争に勝つために必要な技術・部品・設備・人材は資金力を生かして世界中から調達し、そこそこのレベルの製品を一気につくり上げて、市場シェアを獲得する「狩猟型ものづくり」である。

 日本企業はもちろん前者の農耕型である。それに対して、アジアの新興勢は後者の狩猟型である。

 市場変化へのスピ-ディな対応と、低価格競争力による市場支配力が有利に作用するコモディティ商品のグロ-バル市場においては、いまや農耕型よりも狩猟型のものづくりが圧倒的に優勢になっている。価格競争力で一気に市場を支配する量産汎用型のこうした市場で農耕型の日本企業が生き残るのは非常に難しい。

●技術開発、マーケティングに特化する

 こうした現状において、今後日本製造業が生き返り、生き残る道として、当面、次の2つの道が考えられる。

(1)コモディティ商品のボリュ-ムゾ-ン(低・中価格帯の量産品)は狩猟型のアジア新興勢にまかせ、技術供与・生産委託・業務提携などを通じて、米アップルのようにそれらの企業を戦略的に活用し、国際的な水平分業体制を展開する。新技術・新製品・新サ-ビスの試作開発、新たな生産システムの開発や製造方法の革新、新市場開拓や顧客創造を行うためのマ-ケティングに経営資源を集中投入し、世界的な主導権を発揮する。

(2)日本企業にとってこれから特に重要になるのが、プロダクト・イノベ-ション(画期的な新製品開発)とマ-ケティングである。従来のようにハ-ドウェア製品の低価格や多機能で勝負するのでなく、「その製品を使ったら利用者の生活やライフスタイルがどう変わるのか?」という視点で、みんながあっと驚くような画期的なアプリケ-ションや斬新なサ-ビスの開発に経営資源を集中投入する。それらに利益の源泉を求め、新たな顧客層やビジネス市場(世界市場)を開拓していくのだ。ジョブズのアップル社はiPod、iPhone、iPadの開発でこれに成功したが、ジョブズ後の同社はその成功をどこまで維持できるか、いま正念場にある。

 今年1月、米国ラスベガスで行なわれた世界的な家電見本市CES(コンシュ-マ-・エレクトロニクス・ショ-)に、日本企業の最新4Kテレビが出品された。フルハイビジョンの約4倍の解像度を誇るが、相変わらず受信機のハ-ドウェア機能強化で差別化を図ろうという発想から抜け切れていない。製品開発に対する根本的な発想の転換が必要である。

 日本の電機メーカーの生き残りをかけた取り組みと苦悩は、自動車産業の近未来の縮図でもある。自動車産業も、家電産業と同様に技術の標準化、生産のモジュ-ル化(標準部品の組み合わせ生産)、商品のコモディティ化が今後、予想を超えるスピ-ドで進み、経営スピ-ドと低価格競争力が市場を支配する狩猟型が支配的になる可能性は十分考えられる。現在の家電産業の栄枯盛衰から何を学ぶかが、大事になってくるのではないか。
(文=野口恒/ジャーナリスト)

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