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知ってるようで知らない……薬局の歩き方・クスリの選び方 第8回

市販薬で効く育毛剤はリアップだけ? 人がハゲるワケとその有効策【前編】

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 こうした脱毛症の原因はストレス性の疾患を除き、頭皮のダメージなどによるものと遺伝性のものに大きく大別できます。よく言われるのが、金髪にするとハゲる……という話です。

 金髪にする場合、日本人の髪の毛は非常に太く、芯まで色を抜くのは相当強い薬品を使わなければいけません。この薬品によるストレスで、毛の再生の速度が落ちることが知られており、特に金髪を連続した場合、遺伝性の脱毛症でなくても十数年のスパンでそのツケが回ってきます。ただ、多くの場合、頭皮の衛生や生活面の改善でその進行を食い止めることが可能です。

 薬局で売られているものとしては、サイトプリンや塩化カルプロニウム、ケトコナゾールなどの成分を配合した育毛トニックなどが医薬部外品として売られています。

 ただそれらは「育毛促進!!!」や「毛根の血流を!!!!」みたいな力強い宣伝をしていますが、その根拠となる研究は信頼性が微妙といわざるを得ないもので、「効果が無い」とは言えないまでも、気休め程度に考えておいたほうが良いとされています。

 次に最も多い、遺伝性の脱毛症です。男性型脱毛症(AGA)といわれ、前者は、遺伝的な原因ではないので、医薬部外品の育毛トニックや衛生面や生活改善をするだけでは、ハゲの進行を遅らせる程度の効果しかなく食い止めることは難しいと言えます。

 男性型脱毛症の原因は、頭皮の毛乳頭細胞内で男性ホルモンであるテストステロンが2型5アルファ還元酵素によってジヒドロテストステロンに変化、このジヒドロテストステロンの刺激をうけた母毛細胞が細胞自殺(アポトーシス)することで起こるというのが分かっています。

 当然別の原因も考えられるのですが、このジヒドロテストステロンへの変化を標的にした薬剤は、高い効果を上げており、現在最もメジャーな治療法として評価されています。

●薬局薬で効果が期待できるのはリアップだけ

 20代前半で猫っ毛が増え始めた……という初期段階の人は安いシャンプーではなく、美容院などで使われる良いシャンプーを使い、ドライヤーでしっかり乾かし、そして育毛トニックをつけることで進行を遅らせることができるかもしれない……というくらいで考えておくべきです。

 はっきりしているのは、多くの医者が市販薬では塗布剤のミノキシジルしか医学的に「効果がある」と認めていないということです。

 ミノキシジルを含んだ薬剤は現状、大正製薬のリアップだけとなります。壮絶なリアップのステマをしているような気がしますが(苦笑)、続けます。

 ミノキシジルの発毛作用は、もともと血圧の薬である降圧剤の臨床試験の過程で、副作用によって患者に多毛が発現した事から研究が進められ開発されたもの。1980年に製薬会社のファイザー(当時はアップジョン)が外用発毛薬としてアメリカ食品医薬品局(FDA)に承認させました。日本では大正製薬がリアップとして全国の薬局で第1類医薬品(薬剤師が不在だと販売できない)として購入が可能。現在はより効果の高い5%配合のものが7~8千円で売られていますよね。

 余談ですが、アメリカ国内でファイザーが扱っているロゲイン5%のモデルだと、同量で30ドル前後とおよそ半額なので、長期で使う場合は個人輸入のほうが安くつきます。育毛剤関連で個人輸入をするのはこの程度にしておいたほうが無難でしょう。

 今回は薬局売りの育毛剤についてまとめましたが、次回は、テレビCMで「AGA! AGA!」と連呼する内服用育毛剤からゴリ押しの外科手術まで、その他の治療法について迫っていきましょう。
(※後編に続く)

(文=へるどくたークラレ)

※本記事は、サイエンス・ライターがつづる化学コラムです。報道の見地から行っているものであり、再現性やその内容を保証するものではありません。一切の責任は編集部及び著者は負いかねます。また薬を服用する際は、医師や薬剤師にご相談ください。

へるどくたークラレ 
数々の大型書店で理系書売り上げ1位となった『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス)著者。サイエンスライター。生化学を専門に、化学兵器、ドーピング問題、ドラッグといった血なまぐさいジャンルを得意とする。最近は添加物や化粧品といった生活密着ネタも多い。無料のメールマガジンを最近始めたので、健康情報から生物学的なモテ論までいろいろやっておりますので、是非ご登録ください。
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