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“違法な”同人誌はなぜ放置されている? 600億円市場に突然警察介入の可能性も…

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【Step.2】
 従って、原作のどの絵をどのように切り取ってコピペしても、私が創作したこの「薄い本」のようにエゲつなく、下品で、スケベで、エロい作品には、断じてならない。

【Step.3】
 以上より、複製権侵害は否定される。

と言い張れば、裁判で勝つ可能性に一条の光を見いだすことはできるはずです。

 しかし、キャラクターの顔を似せない「薄い本」に商品価値はあるか疑問がありますし、また、弁護士は、「あんな淫らなことしている絵」や、「こんなイヤらしいことしている絵」を証拠として、裁判官や陪審員に開示しながら、あなたを弁護することになりますが、はたして、その仕事、引き受けてくれるでしょうか。

●コミケ会場が封鎖される日

 それにしても、同人誌が、複製権侵害を構成すると判断される可能性は相当に高いのに、「1ミリたりとも、絶対にそのような侵害を見過ごさない」という絶対的な決意で取り組んでいるのは、私の知る限り、灰かぶり姫のお城で、ネズミの着ぐるみが踊り狂う千葉県にあるアミューズメント施設を運営する法人だけです。

 不思議に思って、ちょっと調べてみたのですが、同人誌を取り扱う市場は、媒体で300億円弱、流通形態で300億円強、合計600億円市場といわれているらしいです。この600億円市場を吹き飛ばすことは、出版業界にとっても、本意ではないのかもしれません。また、国も、コンテンツ産業立国を目指すという国家的な政策から、警察権力の介入を差し控えているだけかもしれません。

 しかし、私は、コミックマーケット(いわゆる、コミケ)の会場が、警察によって封鎖され、同人誌がすべて押収されるという未来が、絶対に来ないとは断言できないと思っています。

●ここから本題

 さて、今回、キャンディキャンディ事件から、二次的著作物の権利関係を整理し、同人誌の著作権問題を、キャラクターの観点から「薄い本」とからませて説明させていただきました。

 実は、ここまでが前置きとなり、ここから本題に入ります。

 今回のコラム執筆の動機は、初音ミクパッケージを販売している、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が作成した、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)の、以下の3行を読んだ時点からスタートしています。

「ピアプロ・キャラクター・ライセンス
第2条(著作権法その他適用法との関係)
1.当社キャラクターは、著作権法その他の適用法令によって保護されます」

 あれ、「キャラクターを保護」? キャラクターって、著作権上の保護対象ではないと、判示されていますが、これは一体どういうこと? という疑問から始まりました。

 次回では、これまで3回連続で掲載させていただいた「初音ミク」について、法律面からのアプローチを試みたいと思います。また、N次著作の意味と、上記のピアプロ・キャラクター・ライセンスについても、具体的に書きたいと思います。
(文=江端智一)

※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナーへお寄せください。

【註1】最高裁判決(平成9年7月17日)「ポパイネクタイ事件」

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