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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第24回

大手新聞社長、不倫もみ消すために海外へ飛ばした愛人帰国で戦々恐々!?

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 肝を冷やした1度目は90年代の半ばころだった。2人で神楽坂を歩いていた時で、経済部の若い記者に出くわしたのだ。2度目は名古屋時代だ。由利菜がタクシーで追突されて入院、村尾が見舞いに行ったら、同じ記者クラブの同僚と出くわした。ドキッとしたけど、大した噂にはならなかった。一番心配したのは、社長になる直前に、由利菜との関係を詳細に書かれた怪文書がばらまかれた時だ。由利菜がすでに日本にいなかったのが幸いし、ゲシュタポを使ってマスコミを脅しまくったことで、事なきを得た。

 「由利菜をあと1年か2年ニューヨークに置いておければよかったが、いくら社長でも特派員は3年勤務という慣行を破れない。彼女が帰ってきた以上、仕方ない。でも、今までうまく乗り切ってきた。心配してもはじまらないぞ」

 そう自分に言い聞かせると、村尾の脳裏から由利菜と玲子の面影が次第に遠ざかって行った。そして、睡魔に襲われ、そのまま寝込んでしまった。
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週3月29日(金)掲載予定です。

BusinessJournal編集部

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