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山本一郎

パナにソニー 家電業界の撤退リストから見る、各社の苦悩と戦略(前編)

文=山本一郎
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post_1756.jpg(「Panasonic HP」より)
――投資家として企業情報を幅広くをウォッチするあの山本一郎氏が、国内外の経済・企業スキャンダルから、テレビ・芸能ネタまで、幅広くチョイス。今回は、苦境が叫ばれ続ける日本の家電業界について撤退した事業に関するニュース記事をピックアップしていただきました! 各社への寸評とともに前後編でお送りします。

 苦境からなかなか抜け出すことのできない総合家電メーカーの状況を伝える報道が増えてきました。それはもちろん、収益性が確保できない各種事業からの撤退や、同じく将来性がない技術に基づいた製品の見切りなどがメインですが、共通して感じるのは「収益性のないものからは撤収、事業を絞り込んで再編を目指す」わけではない点です。

 例えば、パナソニックについてはプラズマ事業からの撤収がいまごろになってニュースになりましたが、テレビ市場におけるプラズマのシェアはすでにほぼゼロになっています。もはやプラズマ型テレビについていうならば投げ売りに近い状態の市場環境であるにもかかわらず、いままで何故この技術に固執し温存してきたのか、外部からはさっぱり分かりません。

 その一方で、コンテンツ事業による顧客の囲い込みを目指す的な、出版事業への進出を決めています。はっきりいって、松下印のコンテンツにロイヤリティのあるユーザーなどほとんどいません。進出するべき事業が、例えば電子書籍というのはハード屋としては考えそうなことですが、その一方で垂直統合的なモデルにパナソニックが進出することのリスク、無謀さというのは、パナソニックが過去に行ってきたコンテンツ事業に対する「コンテクスト」から容易に感じられることだと言えます。

 そんなこんなで、泣くほど面白い撤退リストを上から並べてみると見えてくることもたくさんあるかなあと思うので、みんなで頑張ってウォッチしましょう。

【パナソニック・松下】
寸評:右往左往する家電の雄、パナソニック。戦略的にはもはや一貫したものは撤退事業からは類推できず、今後どこで収益を上げていくのか、生き残っている販売網にどのような製品を流していくつもりなのかも分からない状態になっています。「いつまでもパナのブランドで製品が売れると思うなよ」という市場のメッセージはきこえないのでしょうか。

パナソニック、携帯事業も売却検討 台湾端末メーカーなど候補ーーSankeiBiz (2013年3月19日)

パナソニック、来年度にも出版社買収を検討 ヘルスケア事業は売却ーーSankeiBiz/Yahoo!ニュース(2013年3月17日)

パナソニック、TV事業を大幅縮小 プラズマ撤退へーー日本経済新聞 (2013年3月18日)

ついにパナソニックまでもがプラズマパネルの開発から撤退、有機ELに特化へーーBUZZAP! (2012年12月18日)

パナソニックモバイル、欧州のスマホ事業から撤退へーーケータイWatch (2012年10月31日)

パナソニックが白熱電球の生産終了を10月末に前倒しーーGIGAZINE (2012年7月12日)

三洋電機とパナソニック、ハイアールへの白物事業売却を説明ーー家電Watch (2011年7月29日)

パナソニックの携帯ゲーム機 The Jungle 開発中止ーーEngadget Japanese (2011年3月1日)

パナソニック、ブラウン管から撤退 55年の歴史に幕ーーITmedia (2009年10月1日)

パナソニック 進む不採算事業撤退 大型ビジョンにも選別の波ーーフジサンケイ ビジネスアイ(2009年3月26日)

【緊急寄稿】iPodに白旗! パナソニックが携帯音楽プレーヤー事業の終息を検討ーー日経トレンディネット(2008年10月31日)

電子書籍端末売れずーーソニーと松下が事実上撤退ーーITmedia(2008年7月1日)

松下電器がネット事業撤退ーー個人投資家生活研究所(2007年3月24日)

家庭用ガス機器から撤退 松下電器、来年3月までにーー47 NEWS(2006年10月10日)

松下、ブラウン管製造中止 電機大手は国内から撤退ーー47 NEWS(2003年11月8日)

【ソニー】
寸評:迷走という点では、かねてから話題になりやすかったソニーも不採算事業からは次々と撤退。エレキ至上主義といわれた社内決定も持ちこたえられず、収益を上げている事業は製造業以外のものばかりという状態です。

ソニー、MD録再機の生産を終了。約20年の歴史に幕ーーAV Watch(2013年1月31日)

ソニー、ポータブルカセットレコーダ出荷を完了へーーJ-CASTニュース (2012年12月10日)

ソニー、光ディスク事業から撤退 400人は早期退職か配置転換ーー産経新聞(2012年8月25日)

スマホ普及の余波広がる ソニーはカーナビ撤退ーー日本経済新聞 (2012年7月28日)

ソニー PSP go が生産終了、流通在庫のみで終息へーーEngadget Japanese (2011年4月19日)

「サウンドエンターテインメントプレーヤー“Rolly” <ローリー>販売終了」のお知らせーーソニーストア(2010年7月16日)

電子書籍端末売れずーーソニーと松下が事実上撤退ーーITmedia(2008年7月1日)

ソニー、トリニトロンの生産終了ーーITmedia(2008年3月3日)

ソニー、AIBO、QRIO、QUALIA撤退ーーPC Watch(2006年1月27日)

ソニー、ロボット事業から撤退–ウォークマンの国内生産も中止ーーCNET Japan(2006年1月26日)

ソニー、民生用βデッキからの完全撤退を発表ーーAV Watch(2002年8月27日)

【東芝】
寸評:事業の「選択と集中」については一足先に手がけていた東芝、最近は撤退よりも合弁、売却といった別の方法にシフトできるぐらいまでには統廃合が進んできました。

東芝「IHクッキングヒーターからの撤退を発表」ーー岡部バルブ工業(2012年7月4日)

東芝、テレビ国内生産から撤退 海外生産にシフトーー産経新聞(2012年5月17日)

東芝、携帯電話から完全撤退ーーガジェット速報(2012年4月2日)

東芝がCELL生産から撤退、製造設備をソニーへ譲渡ーーEngadget Japanese (2010年12月24日)

東芝HD DVD撤退、その時、売り場は?ーー溢れかえるマスコミと冷静な客ーー日経トレンディ(2008年2月20日)

東芝、音楽コンテンツ事業から撤退。EMI株を全て売却ーーAV Watch (2006年12月14日)

東芝、汎用DRAM事業から撤退ーーPC Watch(2001年12月18日)

【三菱電機】
寸評:結構早い段階で総合家電からの足抜けを図ってきた三菱電機ですが、微妙な情勢は変わらず、中堅以下の悲哀を感じずにはいられません。

日立および三菱、それぞれテレビおよび光ディスクの国内生産から撤退へーーTechCrunch Japan(2012年1月24日)

三菱電機、洗濯機事業から撤退ーーITmedia(2008年9月16日)

「D」の三菱電機、携帯電話の開発・生産から撤退ーーITmedia(2008年3月3日)

後編へ続く

山本一郎

山本一郎

 2000年、IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作を行うイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社を設立。ベンチャービジネスの設立や技術系企業の財務・資金調達など技術動向と金融市場に精通。2007年より、総予算100億円超のプロジェクトでの資金調達や法人向け増資対応を専門とするホワイトヒルズLLCを設立、外資系ファンドの対日投資アドバイザーなどを兼務。

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