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問われるトップの進退

“計画倒産疑惑”のエルピーダは本当に再生するのか? DRAM市場は不安定で赤字返済は不可能!?

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(「マイクロンHP」より)
 エルピーダメモリの米マイクロンによる買収は、最初から不可解なことばかりだった。倒産したエルピーダの坂本幸雄社長が管財人となり売却先を決めた。“出来レース”の疑惑を残したまま再生に向かうことになる。

 会社更生手続き中の半導体大手、エルピーダメモリは2月末、東京地裁から更生計画案が認可された。2012年2月の経営破綻からちょうど1年。米半導体大手、マイクロン・テクノロジーの傘下での再出発が正式に決まった。

 更生計画案の認可には担保付き債権者の3分の2、担保がない債権者の過半数(ともに金額ベース)の賛成が必要だった。賛否を問う書面投票の結果、担保付き債権者の99.54%、担保なし債権者の67.90%の賛成を得たという。

 エルピーダの負債総額は4400億円。更生計画は債権者への弁済率を17.4%に設定した。債権のカット率は8割強に上る。

 まず13年前半にマイクロンがエルピーダの全株式を600億円で取得し、完全子会社にする。エルピーダはこの資金を第1回の弁済に充て、債務の3.5%を返す。その後、マイクロンからの製造委託費として19年までの7年間に計1400億円を受け取り、残る13.9%を6回に分けて弁済する。

 エルピーダは12年2月27日に会社更生法の適用を申請し、3月23日に適用が認められた。管財人には坂本幸雄社長が就き、7月にマイクロンとスポンサー契約を締結した。坂本社長は主力銀行に事前に知らせずに、抜き打ちで会社更生法を申請したことから、“計画倒産”だと騒がれた。加えて、坂本社長と親密な関係にあるマイクロンを支援先に決定したことから“出来レース”という批判が沸き起こった。

 8月21日、マイクロン傘下で経営再建を図ることを柱とする更生計画案を東京地裁に提出した。エルピーダの社債を保有する海外の投資家たちが、坂本管財人がまとめた、この更生計画案の手続きに異議を唱えた。

 ヘッジファンドのリンデン・アドバイザーズやオウル・クリーク・アセット・マネジメント、タコニック・キャピタル・アドバイザーズなど社債権者20社は「エルピーダの企業価値は、管財人が査定した2000億円ではなく、3000億円に上る」と主張。マイクロンへの売却提案は透明性を欠いているとして、独自の再建案を8月14日に東京地裁に提出した。

 社債権者グループのメンバーは、スポンサーを選定する入札手続きについて、「全くの出来レース。マイクロン以外のスポンサー候補にはデューデリジェンス(資産査定)に必要な情報が提供されなかった」と強く批判。「坂本氏はマイクロンから再建後のポストを用意されており、あらかじめ手を握っていたマイクロンに有利になるようにスポンサーの選定手続きを進めたのではないか」と“密約説”を口にしている。(日経ビジネスオンライン2012年8月28日付)

 売却の手続きに疑問を抱いたのは、社債権者だけではない。独占禁止法上の手続きは、日本、米国、チェコ、中国、韓国、シンガポール、台湾でも審理が行われた。

 米デラウェア破産裁判所は12年10月24日、エルピーダが破産(=会社更生法)手続きプロセスについて債権者に十分な情報を提供していないことに「困惑」しているとして、マイクロンへの売却を認めない可能性があると警告した。同破産裁判所は「エルピーダは裁判所や社債権者に対して、DRAMの主要顧客である米アップルへの納入契約について(情報を)開示しなかったと批判した」(ロイター10月25日付)

BusinessJournal編集部

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