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TOBで対立深まる西武HDとサーベラス、なぜ蜜月関係壊れた?上場めぐり食い違う見解

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 しかし、サーベラスにしてみれば、自社にとって不利なかたちでの上場では株主として不利益を受けるだけでなく、自分たちの出資者に対して説明がつかない。そこでサーベラスは、どのようなかたちで上場するのか、きちんと西武HDに説明してもらった上で、この条項を解除するかどうか決めることにしたという。

 ここで問題になるのが、「サーベラスにとっての利益とは何か?」という問題だ。投資ファンドは通常、髙い運用実績が求められる。さらにファインバーグは以前から「1株当たりの評価額が1800~2400円でないと西武HDは上場できない」と語っていたという。

 サーベラスは西武HDに対して、上場時の1株当たりの評価額のバリュエーション(株価評価)の結果開示を求めてきた。「筆頭株主が他の株主に先立ちバリュエーションを聞くこと自体は、問題ないのです。ただ、株主側から『この株価で上場してほしい』と要求することは、証券業協会の内部規定で禁止されており、幹事証券会社が罰せられることになっています」(東証上場部門の関係者)

●食い違う西武HDとサーベラスの見解

 西武HD関係者は、「(同社は)他の株主との兼ね合いを考え、予備審査段階でバリューエーションをあえて算出していなかった」と語るが、その理由について後藤社長は4月12日のぶら下がり会見で、次のよう語っている。

「サーベラスだけでなく他の主要株主も交えて公明性大にやろうと考えているからです」

 しかしサーベラス側の見解はかなり違う。西武HDはすでにバリュエーションを出しており、しかも、そのバリュエーションの中身に大きな問題があるという。

 4月5日、サーベラス日本法人・鈴木社長は、記者会見で次のように述べている。

「西武HDが公表している有価証券報告書の内容と、同社が証券会社に依頼した株価評価の内容に一致していないところがある。例えば、ハワイに所有しているホテルの資産が片方では計上され、もう一方では欠落している。西武鉄道が04年に上場廃止になったのは有価証券報告書の虚偽記載が原因だった。『この道はいつか来た道』になっては困る」

 一方で西武HD関係者は次のように弁明する。

「むしろバリュエーションの結果が心配だったサーベラス側が、幹事証券会社を使い試算した一株当たりの上場価格が、彼らが考えていた2000円台には遠く及ばない1000~1500円という試算が出て来た。そのときサーベラス側は、どうも試算した幹事証券会社に、西武HDが安く見積もるよう圧力をかけたと勘繰っていたようなところもあったようです。サーベラス側としては、なんとかファインバーグの決めたことを通したいという思いが強かったのではないでしょうか。ファインバーグはサーベラスにとっては神のような存在ですから」

 2012年10月末、西武HDはサーベラスとの交渉を断念。一定の催告期間をおいた上で、10月末に資本提携契約の終了を通知した。そこから西武HDは、一気に上場に突き進んでいった。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

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