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大塚将司「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第1部>」第29回

パワハラ死、社内スキャンダルは脅しでもみ消し!?大手新聞社の巧妙な手口

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 「小山君の親父さんが一生面倒を見ることにしたんですから、騒ぐ心配はありませんよ。親父さんが亡くなって、老舗問屋を継いだ兄貴が豹変すれば、別ですが……」
 「老舗問屋は人手に渡ったんだろ? それだと、兄貴が豹変する可能性はあるじゃないか」
 「そこまで心配したらきりがありません。それに、うちはゲシュタポを使って、どんなつまらないことでも表に出ないように万全の態勢を敷いています。それは自信があります」
 「え、本当かい?」

 疑わしい眼つきの松野が、からかうような調子で突っ込んだが、村尾は自信満々だった。

 「蟻一匹逃さない、と断言できます。実際、今ではうちのスキャンダルはどんな小さな媒体でも載りませんよ。たとえば、個人のブログとかホームページもゲシュタポの部下が常時見ていて、少しでもうちに都合の悪いことが載ったら名誉棄損やプライバシー侵害をちらつかせて脅しをかけます。効果抜群です」
 「君のところは、そこまで徹底してやっているのか。うちは、そこまではしていないな」
 「2つのSを抱えた連中で経営を牛耳る体制をつくっている以上、うちのような体制を取るべきです。合併後は任せてください。表に出ない盤石の体制を築きます」
 「そうか。頼もしいな。君の言う通りにしよう。だが、今日は身体検査だ。まあ、姉さん女房の件はもういいが、小山君の2つのSはそれだけじゃないだろう」

 松野は口元にいわくありげな笑みをたたえ、話題を変えた。

 「小山君には、ほかに大した2つのSはありません。先輩は何を聞いているんですか?」
 「パワハラもあるんじゃないか? もっぱら、そういう噂だぞ」
 「上に都合のいい部下は、下にはきついんです。でも、問題になったケースはないですよ」
 「おいおい、そんな断言して大丈夫なのか」
 「パワハラ的な行動が社内の一部で問題になることは結構あります。でも、社外で噂になるようなことはなかったはずです。先輩は何か知っているんですか?」
 「ほら、君のところの整理部長で、勤務中にくも膜下出血で急死した奴がいただろう」
 「ええ、いましたよ。2年ほど前ですね。でも、遺族には手厚い支援を取り、労災認定を求めるといった事態にはなりませんでした。だから、何も問題はありません」
 「でもな、くも膜下出血で急死する10分くらい前の編集部長会で、小山君がその部長を激しく面罵したというじゃないか。うちの連中にはそう伝わっている」
 「編集部長会で厳しく叱責したのは事実です。とにかく、要領の悪い奴でしてね。しょっちゅう、小山君が怒鳴りつけていたんだよな」
 「ええ、まあ。建前と本音がわからん奴でした」

 小山が頭を掻きながら、小声で答えた。

 「その時は、何が原因だったんだ」

 小山が口ごもっているのをみて、村尾が助け舟を出した。

 「ある大企業の不祥事の記事の扱いについてだったよな」

 小山が頷くのを見て、村尾が続けた。

 「その大企業はうちの広告、販売の両方ともお得意さんで、『記事の扱いはできるだけ控えめにお願いします』と頼んできたんです。小山君が『大したニュースじゃない』と天の声を発し、社会面のベタ(見出し一段の記事)にしたんです。それに異を唱えたんです」

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