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西武HDのTOB期日を前にして、株主は混乱

サーベラスによる工作か?西武HD株主へTOB参加促す謎のダイレクトメールが一斉に

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株主に届いたはがき。
 「ダイレクト・メールは、もうお読みになりましたか? 期日が迫ってきているので、そろそろお急ぎになった方がいいですよ」。西武ホールディングス(HD)の株主に、こんな電話がかかってくるようになったのは、4月20日ごろから。

 ある株主は、「誰とも名乗らずに、西武HDのTOB(株式公開買い付け)に関するダイレクト・メールが届いた後に、TOBへの参加を勧誘する電話がかかってきた」と証言する。

 その上、この株主によると、届いたTOBへの参加を促すダイレクト・メールというのが不思議なものだという。「西武ホールディングス株式の公開買付の応募期限が近づいています」と大きく書かれたハガキの文面は、「応募申込をご希望の株主様で、応募手続に関する書類をご請求されていない方は、本ご返信用ハガキを切り離してご返送いただければ書類一式をご郵送いたします」と書かれている(写真参照)。

 その宛先は、TOBの代理人となっている東海東京証券・企業ソリューション推進部。そしてハガキを詳細に見ると、小さな文字で次のような記述が見つかる。

〔公開買付者〕インタートラスト・コーポレート・サービシーズ(ケイマン)リミテッド、エルギン・アヴェニュー190、ジョージ・タウン、グランド・ケイマンKY11-9005、ケイマン諸島 エス-エイチジャパン・エルピー

 お分かりのように、このTOB参加の勧誘ハガキには、どこにも“サーベラス”という文字が見当たらないのだ。世の中の報道では、西武HDにTOBを仕掛けているのは、サーベラスという会社。西武HDの株主たちの認識も、サーベラスが西武HDにTOBを仕掛けているというもの。

 先の株主は、「ハガキを見ても、どこにもサーベラスの文字はない。突然、電話がかかってきて、急がないと期日が迫っているとせかされる。てっきり、西武HDからの連絡と思った」という。

 確かに、西武HDのTOBを実施しているのは、サーベラスが運営する傘下のファンドであることに間違いはない。しかし、西武HDの株主から見れば、あくまでサーベラスがTOBの実施者という認識だ。サーベラスという名前がまったく記載されていないハガキが届き、勧誘の電話がかかってくれば、「西武HDからのものと勘違いしてもおかしくない。まるで詐欺のような手口」(前出株主)との声が出るのもうなずける。

 サーベラスは、TOBの買付予定数の上限を、それまでの1367万2700株(議決権保有割合の4%)から4180万株に8.23ポイント引き上げ、同時に買付期間を4月23日から5月17日まで延長したが、この際、西武HDの株主に送ったハガキにも同様のことがいえる。このハガキにも、一切サーベラスの名前は出ていない。

 西武HDとサーベラスの関係はこじれにこじれ、確執は深まっている。両者は妥協点を見いだせなくなっており、それがTOBという形に表れている。さらに、TOBがどのような形で決着しようが、今後、株主総会でもプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)に発展する可能性が高まっている。

 果たして、件のダイレクトメールはサーベラスによるものなのか?

 西武鉄道という公共性の高い事業を行い、世間の注目度が高い西武HDに対するTOBだけに、サーベラスは誤解を招いて非難を浴びることのない“正々堂々”とした方法を行うべきだろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

※下写真は株主に届いたハガキ書面。post_2063_02.jpgpost_2063_03.jpgpost_2063_04.jpg

BusinessJournal編集部

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