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消費税還元セール禁止特措法は憲法違反?小売業界の猛反発で早くも政府が譲歩

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 賢い流通業者は必ず抜け道となる表現を探し出す。従って実効性に乏しい。手段と目的に整合性がないばかりか、手段の妥当性もない」(渋谷教授)というのだ。

●法の抜け道を探す企業

「はつ~かさんじゅうにち5%おっふ」。イオンが毎月、月の後半になると大量に流しているこのテレビCM。5%と聞いて、ああ消費税分ね、とぴんと来る人は少なくないだろうが、まったく気付かない人だっているだろう。従って、この表現を「消費税還元を連想させる表現」だと言い切ることは不可能だろう。

 もう1点の表現の自由の規制という観点でも「広告上の表現は精神的自由の範疇に入るので、よほど詐欺性の高い虚偽の広告ならともかく、そうでなければ自由が原則なので憲法違反となる可能性が高い」(同)という。

 経済的弱者の保護という目的の場合は、経済的活動の自由は政府の裁量である程度規制することが許される。だが、精神的自由に関しては原則自由というのが憲法の考え方だ。

 内閣の法案提出に対し猛反発したイオンやユニクロが、この法案に対する対策を何か立てているかというと、両社とも「特に対策は考えていないし検討しているわけでもない」という。「新聞を読んでいると憲法に違反するらしき法案の国会提出を目にすることがある」(同)というほど、憲法違反が疑われる法律は少なからずあるようだ。

 憲法違反であってもこの法案は間違いなく成立するだろうし、法案成立後に国会の決議の無効を訴える訴訟を企業が起こすことも、ほぼあり得ない。

 国相手の訴訟はしんどい。訴訟を起こすよりは、法の抜け道を探すほうが格段に楽で、実効性も上がる。今回も企業側はこの法律がザル法であることを先刻承知していただろうが、政府の譲歩によって、抜け道を探す必要性すらなくなった。

 消費税還元セール禁止特措法は、とかくつくり込みのずさんさが指摘されがちな議員立法ではなく、まがりなりにも内閣府が提出した法案だ。にもかかわらず、この結果である。こんなずさんな法案を内閣府が安易に出してしまうところに、早くも自民党の奢りが現れているのではないだろうか。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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