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学校での体罰隠蔽のカラクリと、正しい“効果的な”対処法…元教育委員長に聞く

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谷尻氏 それを防ぐために、次の内容を必ず記載します。「要請した事項について○月○日までに、口頭または文書で私宛てに回答を願います。もし、回答がないときには、貴方にとって都合が悪いので回答できないものと受け止め、これらの事実を関係機関および関係省庁に報告し、指導を仰ぎ、法的措置を伴う適切な措置を取らざるを得ません」。実は、この記載が重要なのです。この記載があれば、まず回答は届きます。

–しかし、虚偽の回答が示される可能性もありますね。

谷尻氏 その可能性はあります。保護者は、虚偽の回答をしてくるという疑いをもって臨まなければなりません。事実関係を一つひとつ白黒がつくまで確認して、当該教師を処分するという一筆をもらうのです。

●弁護士を活用する

–仮に回答が来なかったり、処分の実施をあいまいにされたりした場合は、どう対処すればよいのですか?

谷尻氏 地元の弁護士会に開設されている「子どもの人権110番」に相談します。弁護士会に情報開示、処分の実施、損害賠償請求などの措置を執行してもらうのです。

体罰の根絶には罰則規定や教師の人事制度の改革だけでなく、もっと根本にメスを入れる必要があると思います。谷尻さんの見解をお聞かせください。

谷尻氏 現在は、教師も保護者も役人もすべて戦後教育を受けた人たちばかりで、その弊害が体罰にも出ています。本来、教育は国家100年の大計の柱をなすものですが、昭和22年に制定された教育基本法には「良心の強い人格を育成する」という文言が欠落しています。悪に立ち向かう正義感の強い人格の育成がなされなかったことは、戦後教育の欠陥です。

–憲法についてはいかがですか? 改正論議が本格的になりましたが、教育基本法に関わる箇所で改正すべき点はないのでしょうか?

谷尻氏 憲法を改正してから教育基本法を改正しないと、中途半端になってしまいかねません。憲法の問題点は前文にあります。前文には「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」とありますが、歴史観が欠けています。「わが国の伝統と文化を重んずる」という文言なしに「他国を無視してはならない」とは、メチャクチャな論理です。憲法の前文に「わが国の伝統と文化を重んずる」を加えた上で、教育基本法に「良心の強い人格を育成する」を加えることが、教育現場を正常化させる現実的な方策であると思います。
(文=編集部)

●谷尻哲
1939年兵庫県生まれ。東京都田無市(現西東京市)教育委員会教育委員長、社会福祉法人・東京都田無市社会福祉協議会理事、田無市特別職報酬等審議会会長などを歴任。92年に田無市より自治表彰を授与。現在は内閣府認証特定非営利法人JOIN理事長、財団法人理事、税理士法人顧問。

BusinessJournal編集部

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