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パナソニック批判への違和感 復活担う社内ベンチャーと“わかりにくい”経営の強さ

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 こうした「見えざる組織の事情」からか、多くのジャーナリストが、パナソニック社内の体質的問題に注目している。私も元役員や一部のOBからそのような指摘を聞いた。だがそれは、パナソニックに限ったことではないだろう。長々と書く学術論文でさえ、その結論については賛否両論が噴出する。短い文章で難しい事象について善か悪かを決めてしまうのは大変危険な行為である。

 また、一ジャーナリストが何がしかの批判的提案、建設的提案をしたからといって、それにより経営の意思決定が左右されるほど単純な経営者ばかりではないだろう。ましてや、その提言が結果的に当たったとしても、当該企業のすべてを見ている経営者よりも深くその企業をウオッチし関与してきた結果生まれたものだろうか。

 誇り高きジャーナリストにも限界がある。経営者よりもその企業を理解し、正しき方向に導けると思い込んでいたとすれば、それこそジャーナリストの驕りである。ただし、誤解を避けるために一言加えておくが、ジャーナリストの批判精神および傍観者故の新鮮な切り口を否定しているわけではない。

 私もパナソニックの中村改革や三洋電機買収を取り上げた書籍を出したことで、著名経済ジャーナリストとともに「パナソニックの経営を褒め称えてきた」と、昨年末、他のネットメディアで「自称・アカデミック・ジャーナリスト」に吊るし上げられた。本サイトでもその論をそのまま引用し、既成事実化していた。だが、本人に直接取材した形跡は一切ない。私はその真偽は知らないし、軽々しく他人の仕事のやり方を干渉、非難する趣味はない。よくぞ、こんな厭らしいことを書くなと呆れている。少なくとも、私は儲けるのがまったく下手な人間であるから、パナソニックのヨイショ記事を書き、稼ごうなどと思ったこともバブルを謳歌した事実もない。私はパナソニックに言及することにより、利益はまったく得ていない。中村氏には何度もインタビューしているが、ヨイショして何の得があるというのだろうか。特別な配慮をしてもらった覚えはない。

 こうした強烈な皮肉を入れなければおもしろくないと考える媒体は少なくない。だが、それはその世間の特殊スタンダードである。興味を持つ人はいるだろうが、マスではない。その証拠に、その種の媒体が驚くほど多くの部数を出しているという事実を聞いたことはない。

●悲しいジャーナリズムの常識

 それにしても、一昔前ならジャーナリストが集まる懇親会では冗談が飛び交っていたのに、今では記者たちが必死でメモをとっている。冗談も口にできないほど余裕がなくなってしまったのだろうか。こう嘆くベテラン・ジャーナリストは少なくない。

 人を批判することは、時には必要だろう。それこそ世を正すジャーナリストの本懐と理解されている節もある。人の属する世間、仕事、価値観はさまざまである。その中で一緒に過ごし、行動をともにしたどころか、何度も会っているわけでもないのに、名指しで世の中に恥をさらせる心理を疑う。それがジャーナリズムの常識になっているとすれば、非常に悲しい話である。

 読者にとってはおもしろいかもしれないが、剣よりも強いペンを振りかざしているジャーナリストご自身は、絶対的な神のような存在なのか。キリスト教の教えではないが、「人は弱いものである」という前提を忘れ、いつの間にか強者の論理で筆を進めているような気がしてならない(私がまったくそうではない、というほど面の皮は厚くない)。特にネットの時代になり、この傾向に拍車がかかっているようだ。「またパナソニックを持ち上げている」と批難されるかもしれないが、「短所ばかり指摘するのではなく長所を伸ばす教育」を実践している私としては、今後もパナソニックの良い点に注目してみたい。それは、失敗は失敗として認識し、それをいかにして克服したかを洞察することで、苦境に直面している他の企業にも参考となるケースになるからだ。

 津賀社長が中期経営計画を発表した時、「具体的な再建策がない」とメディアやアナリストは指摘したが、本当にそうなのか。同社長は「自動車と住宅関連分野を2018年に2兆円事業へと拡大する」と語っていたが、それは外部向けにわかりやすく説明した記者発表会用のレトリックである。

●“わかりにくさ”の強さ

BusinessJournal編集部

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