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パナソニック批判への違和感 復活担う社内ベンチャーと“わかりにくい”経営の強さ

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 これからの日本企業は、情報の開示が必須であることは言うまでもないが、一方では、「なぜあの会社が儲かっているのかわからない」と外部から言われるようなビジネスシステムを構築しないと生き残っていけない。つまり、ジャーナリストやアナリストに見透かされるようなビジネスシステムでは、もはや大きな利益を創出できないし、先行者利益を数年間は稼げても、すぐにライバルにキャッチアップされてしまう。パナソニックは薄型テレビをはじめとするデジタル家電のビジネスでこうした経験をして、懲りたはずである。

 藤本隆宏・東京大学大学院経済学研究科教授の言葉を借りれば、「表層の競争力」以上に「深層の競争力」の強化こそが、パナソニックが虎視眈眈と進めようとしている戦略の本質なのだ。BtoCからBtoBへビジネスの主軸を移していくという転地(リロケーション)と、「深層の競争力」の強化は表裏一体なのである。

 実は中村社長時代に社内ベンチャーの種を蒔き始め、そろそろその芽が出てきている。あまりメディアでは取り上げられていないが、津賀社長はそれらをいかに育て収益源にするかが見ものである。

 三品和広・神戸大学大学院経営学研究科教授は「優秀な事業部長クラスに売上高1000億円程度の事業を任せ、自律的に経営できる体制をつくれば、大いに力を発揮するだろう。売上高100億円程度まで組織を小さくしてもいい。その規模なら事業の隅々まで把握でき、経営者自らが顧客のもとに日参できる」と提言している。今こそ、このような日本企業を活性化する建設的意見が求められる。

 昨今のパナソニックに関する報道を見ていると、昔話かそれに基づいた現在の話が散見される。昔や現在の話ばかりをしていては進歩がない。結果を見てから過去を振り返り、あの経営者が悪かったから、私はこう言っていたから、などといった議論を繰り返していても明るい明日はやってこない。口を開けば「あなたは責任を取り辞めないのですか」と言うジャーナリストの感覚は、ときに必要だが新たな地平を切り拓くほど実効性はない。「最後に得したのは三井住友銀行」(パナソニックOB)という指摘も聞かれるが、「A級戦犯」批判はもう終わりにしたいものだ。人は人を裁くほど偉くないのだから。
(文=長田貴仁ジャーナリスト/ 経営学者)

BusinessJournal編集部

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