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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(6月3日)

東京の五輪招致に赤信号!? アジア票に期待できず、公式サイトは“世界最悪”?

文=blueprint
東京の五輪招致に赤信号!? アジア票に期待できず、公式サイトは“世界最悪”?の画像1
これが噂の…。(「JOC HP」より)

 ロシアのサンクトペテルブルクで5月30日、2020年夏季五輪の招致に向けた3都市のプレゼンテーションが行われた。2日に帰国した猪瀬直樹東京都知事が「ものすごく盛り上がった。手応え十分」(産経ニュース)と満足感を示しているように、各メディアとも東京代表のプレゼンテーションに一定の評価を与えている。

 30日の日本経済新聞ウェブ版によれば、プレゼンテーションはイスタンブール、東京、マドリードの順で、各都市20分の持ち時間で実施された。猪瀬知事らは「治安のよさ」や「選手村から8キロ圏内に大半の競技会場を配置するコンパクトな計画」などについて情熱的にアピール。海外メディアからは、東京側の懸案とされてきた知事の「イスラム諸国はけんかばかりしている」との問題発言についても質問が飛んだが、「ともにフェアプレーで頑張りたい」と前向きに切り返し、傷口を広げることもなかったようだ。

 また、2日に各メディアが報じたように、ライバルであるトルコ・イスタンブールでは連日、エルドアン首相に対する抗議デモが続いており、1日は900人以上が拘束、一部の交通機関が麻痺するなど、五輪招致にも影を落としかねない事態に発展している。

 一方、スペイン・マドリードについては、国の不安定な経済情勢が不利に働くと見られてきた経緯もあり、また「安全・確実」との主張が東京ほどの説得力を持つか、ということにも疑問符がつく。こうした状況を見ると、念願の五輪招致に向け東京が一歩リードか……と思われるが、実はそうでもないようだ。

「アジア票、期待できず」の見出しで、東京の苦戦を伝えているのは、31日付の朝日新聞。同記事によると、IOC委員は現在100人。日本はアジア(23人)を土台に、立候補都市のないアフリカ(11人)、北中南米(18人)、オセアニア(5人)の浮動票を狙うことになるが、アジア票のうち、中国(3人)と韓国(2人)は「領土・外交問題で見込めない」(都幹部)。

 中国の影響が強い香港と台湾の各1票も厳しく、アフリカ諸国に対しても、援助などの関係を通じて影響がある中国にパイプ役を期待していたが、アフリカのIOC委員は「中国から『日本は既に東京、長野、札幌でも五輪をやっているからいいんじゃないか』と言われた」と伝えてきたという。

 招致側からは、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の従軍慰安婦をめぐる発言を問題視する声も出始めており、招致に携わる電通幹部は「女性蔑視に国際社会は敏感。政党の代表の発言としてまずい」と周辺に漏らしている(同紙)。英国人トレーナーの指導のもとで練習を重ねたとされる、東京都の“会心”のプレゼンテーションも、集票につながるかは疑わしい、と見る向きもあるようだ。

 他方で、東京都が海外に向けて発信する五輪招致広報サイトにも批判が高まっている。米国のデジタルマーケティングの第一人者=デイビッド・ミーマン・スコット氏が「世界最悪の英語ウェブサイトだ」と酷評したことがネット上で話題になったが、ウェブマーケティングを展開するイノーバの宗像淳代表が5月29日、これを翻訳したものを自身のブログに掲載し、さらに話題を広げているようだ。

「イノベーション」「グローバル・インスピレーション」「ユニークなバリュー」などの言葉が並んだ「東京2020年のビジョン」に関して、スコット氏は「これほど意味不明な文章は、正直いまだかつて読んだことがない」「これらは、英語のマーケティングの文章などで、あまりにも使われすぎて、安っぽくなりもはや何の意味も持たなくなっている」と指摘。スペシャルアンバサダーとして「ドラえもん」を起用していることについても、「11才の子供ならともかく、英語圏の大人全員がアニメ好きではない」として、バイヤーペルソナ(顧客像)をまったく理解していないと断じた。

 経営者向けにニュースを配信する「税金と保険の情報サイト」は6月1日、この件について「ネット上ではこのサイトのできばえについて、批判する声が高い。東京都の五輪招致活動では、大手広告代理店の電通が広報を請け負っている。高額の委託料を受け取っておいて、まともな英語文すら書けないとなれば、批判が集まるのも当然だ」としている。

 中国を中心とするアジア票の問題、また不評を買っている広報サイトが、今後の招致活動にどう影響していくか。東京都としては、決して楽観視できる状況ではないことは確かなようだ。
(文=blueprint)

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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