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アベノミクス、株価上昇過去最長でも批判多いワケ…戸惑うメディアと金融機関

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日銀は、日銀による国債の大量買入れの目的はインフレの拡大だと述べました。しかし、政府累積債務が1000兆円を超え、政府の収入が約45兆円という現在の水準では、インフレに際して、政府債務に関して2%の利息というのは明らかに低いものです。日銀は、この状況からどのように抜け出そうとしているのでしょうか」(2013年4月27日)

「この20年間、マネタリーベースは大体4〜5倍に増えていると思いますが、この間、消費者物価および名目GDPはほぼ横ばいだったと思います。これを単純にみると、マネタリーベースを増やしても成長率や物価にはあまり働き掛けられないことが読み取れると思うのですが、それでも『デフレは貨幣的現象』だとお考えなのか」(2013年4月27日)

「長期金利は、足元では、1%をうかがうような水準に上がっています。4月に金融緩和を決める頃よりもむしろ上がっているということで、この理由をどう分析しているのか、決定会合でどのような議論があったのか、この急ピッチの上昇を抑えるために何か対応を考えているのかどうか、その辺りについてお聞かせください」(2013年5月23日)

「マネタリーベースは、3割増という大幅な伸びになっていますが、銀行貸出やマネーストックは2%増であり、日銀が大量にお金を出していても、経済に回っていくお金の伸びはまだ鈍いと思えるのですが、効果は中長期的に見ていくとすると、現状認識としては、『まだ効果は明確に出ていないけれど、これからである』ということなのでしょうか」(2013年6月12日)

 筆者は2012年2月15日の定例記者会見から参加しているが(質問が許されるようになったのは同年4月の定例会見から)、白川時代と黒田時代を比べて、質問内容に変化が起きたのを感じる。簡単にいえば、白川時代は「見通しを教えてください」というものが多かったのに対し、黒田時代は「金融政策は効くのか」というものが大半になったという印象だ。

 白川時代には、日銀の金融政策を問い詰めるような質問はあまり出てこなかった。メディア自体が、異次元緩和にいまだ慣れていないということなのかもしれない。そしてそれは、メディアだけでなく、金融機関もそうだと前出の片岡氏は言う。

「金融機関も日銀が思い切った政策を行ったことに対し、どう行動したらよいのかという落ち着き先がまだ見えてないのが現状だと思います。15年以上デフレで、国債以外のリスク資産に投資すると損をするという状態が繰り返されてきました。今回も同じ状況になると予測する人が現段階で多くいるとしても不思議ではありません。金融政策の変化をマーケットが理解するかどうか。もう少し、いまのような状況が続くのではないでしょうか」

 日銀の体制変化から3カ月。15年続いたデフレから脱却するのは容易ではない。いま経済を見る目に必要なのは、「体制が変わった」ということを正直に受け止めることだ。そしてその体制とは、「デフレから脱却させるためにあらゆることをやると日銀が覚悟を決めたこと」と言える。注目すべきはその日銀の覚悟を揺るがそうとする旧体制側の発言、つまり「金融緩和は効かない」という意見ではないだろうか。
(文=島田健弘/ライター)

BusinessJournal編集部

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