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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(7月第2週)

高齢者マネーを襲うワナ…NISA口座争奪戦でハイリスク&高額手数料商品の売り込み過熱

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高齢者マネーを襲うワナ…NISA口座争奪戦でハイリスク&高額手数料商品の売り込み過熱の画像1「Thinkstock」より
 「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/7月13日号)は、「狙われる『老後のカネ』」という特集を組んでいる。

 「総務省は4月、65歳以上の人口が初めて3000万人を突破したと発表した(2012年10月1日現在の人口推計)。1947~49年生まれの団塊世代の一部が65歳を迎えたことで、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は24.1%と過去最高を更新。超高齢社会の日本では、引き続き高齢者の数も、高齢化率も右肩上がりで上昇していくことになる。

 高齢者の世代は、他の世代と比較して、総じて資産持ちだ。現役時代にためた資産、退職金、そして年金などで構成される60歳以上世帯の平均貯蓄は2000万円超。全世帯の貯蓄総額の6割以上を60歳以上世帯が占めている。しかも、負債額は他の世帯と比較して少ない。1500兆円に及ぶ個人金融資産の6割を占める巨額な高齢者マネーはあらゆる方面から狙われている」

 老後マネーに舌なめずりしている各ビジネスの狙いに迫った特集だ。

●うまい話には裏がある

 特集「PART1 もうけ話の甘い罠」では、「ハイリスク・ローリターンはあるが、ローリスク・ハイリターンはまずない。うまい話には裏がある」と、甘いもうけ話の裏側に迫っている。

 60、65歳で切れる医療保障に代わって保険料水準の高い医療特約を勧める大手生命保険会社、キャピタルゲイン課税、相続税、贈与税がない香港(ただし日本の税金がかかる)で英銀行大手HSBCグループの口座開設を案内するツアー業者(なんと、12年だけで約6万人の日本人が口座開設したという)、名ばかりの家賃保証など、トラブルが多いワンルームマンション投資の勧誘手口を紹介している。

●有料老人ホームの入居一時金は、15年4月から厳格化

 特集「PART2 暮らしの落とし穴」では、老人ホームや海外移住、一人暮らしを狙う悪質業者の手口を紹介している。PART2で知っておきたいのは、15年4月から入居一時金をめぐるルールが厳格化されるということだ。有料老人ホームの入居に必要な入居一時金は高額にもかかわらず、ほとんど戻ってこないケースもありトラブルの原因になっていた。国民生活センターの調査では有料老人ホームのうち約7割がなんらかの入居一時金を徴収し、そのうち15%の施設が退去時に入居一時金を一切返還していなかったという。

 政府は12年4月に介護保険法・老人保健法を消費者にプラスになるように改正し、入居一時金のルールを定めた。このルールは15年4月から厳格化される。それまでに結ばれた契約は現行の業者側に有利なルールが適用されるために注意が必要だ。

NISAは慎重に検討すべし

 今回の特集で必読なのは、「NISA(ニーサ)」をめぐる記事だ。

 NISAとは14年1月から導入される少額投資非課税制度のことだ。この制度の専用口座を開設すると、23年までの10年間、年100万円まで上場株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)、公募株式投資信託への投資について、売却益や配当金・分配金が非課税となる制度。最大で同時に500万円(100万円×5年)までの非課税枠を持つことができる仕組みだ。NISAの対象となる投資は、NISA専用口座に、いずれも来年1月以降に新たに投資したものに限られる。そのNISA口座は、1人1口座を新規に開設する必要があるため(4年間は金融機関を変更できない)、金融機関は目下、NISA口座の争奪戦を繰り広げている。

 証券業界全体での口座予約数は150万件を突破。みずほフィナンシャルグループは、60万口座獲得を目標に大々的なキャンペーンを打ち出している。

 しかし、問題は多くの金融機関では取扱商品のラインナップが未確定のままだ。例えば、みずほ銀行などの銀行系では、投資信託関係は投資できるが、株式、ETF、REITといったアベノミクスで大きく動いた金融商品には投資できないのが現状だ。

 こうした金融商品に投資できる証券会社間でも、取扱商品には差がある。

 また、最も注意すべきは、品揃えの有力候補に、ハイリスクで手数料が高い投資信託が挙がっているということだ。

 これまでも「デリバティブなど複雑な仕組みを組み込むことで高い分配金を出し、分配金目当ての高齢者にこぞって売りこんできた。複雑化した投信は高い手数料を取ることができるので金融機関にとっては稼ぎやすい」(同誌記事より)。

 しかし、リスクも高く、09年ごろには、オイルマネーで経済成長を続けているアラブ諸国を投資対象とした投信が数多く販売されたが、なかには、10年末に発生した民主化要求運動「アラブの春」の混乱で、基準価額が6割ダウンの憂き目に遭っている投信もあるという。

 せっかくNISAの口座をつくったものの、その金融機関には、手数料とリスクが高い投信しかラインナップされておらず、利益が上がらない。それどころか、損をする恐れもあるのだ。やはり、金融機関のNISAキャンペーンに踊らされずに、しっかりと選びたい。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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