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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(7月第2週)

過熱する教育競争の裏側 分かれる国際/国内志向、エイベックスはダンス検定ビジネスに

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過熱する教育競争の裏側 分かれる国際/国内志向、エイベックスはダンス検定ビジネスにの画像1『エイベックス・ダンス・マスター』公式サイト(「エイベックス・アーティスト・アカデミー HP」より)
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/7月6日号)は、「グローバル時代に勝ち残れ! エリート教育とおカネ」という特集を組んでいる。子どもがグローバル化に出遅れないためには、どんな教育が必要か。英才教育から中高一貫校まで、最大効果のある教育投資を探る」という内容だ。

 少子化が進み、18歳人口は1992年の205万人から、2012年には119万人まで激減。大学は「全入時代」へと突入した。

 しかし教育の競争が過熱し、教育の格差は大きくなる一方だ。

 教育格差は親の所得格差と直結する。幼稚園から大学までかかる教育費が、親に重くのしかかる。「たとえば高校まで、すべて公立に通うと504万円だが、オール私立なら1702万円。特に“お受験”で有名私立小学校に行くと、公立との差がハネ上がる。大学では、国立は243万円で済むが、私立医歯系ならば2315万円と、差は10倍近い。

 同じ国内でもインターナショナルスクールに行く手もある。帰国子女は語学力を発揮するのに最適だろう。国際バカロレア(IB)など海外難関大学に入る資格を取得できる学校も多い。ただし費用は高め。幼稚園から高校までインターを選ぶと、2775万円も必要になる」のだ。

 現在、優秀な生徒を集めるのが、私立の「中高一貫校」だ。

 「6年間かけて勉強させるプログラムが見直され、難関大学への進学実績を積み上げていく。さらには、公立でも一貫校の開校ラッシュが続いた。東京都立の小石川や白鴎、桜修館などでは、毎年5人前後の東大合格者を着実に輩出している。子を中高一貫校に入れるため、小学校低学年から受験対策を始めるなど、勝ち組になるための努力は尽きない」という。

●0歳から始まる英才教育

 特集「PART1 エリート予備軍は幼児から」では、09年2月に開校後、育脳の「久保田式」としてテレビなどで取り上げられ、全国から親子が集まる乳幼児スクール「くぼたのうけん」や、右脳への徹底した働きかけをする「七田式」の「七田チャイルドアカデミー」などを紹介している。ただし、「くぼたのうけん」「七田チャイルドアカデミー」ともに、対象年齢は0歳からで、入会金は2万1000円。月の受講料も「くぼたのうけん」は2万1000円で、「七田チャイルドアカデミー」は1万4700円と高額だ。

 特集「PART2 中高一貫か国際志向か」では、専門家は「同じアッパー層でも、グローバル志向なのは、生徒の父親が商社や国際企業勤めのケース。半面、国内で東大を目指すのは、親が医者や弁護士などの資格業種」と分析するように、中高一貫か国際志向かで、選択肢は分かれる。

 いくつかの高校の取り組みが紹介されている。なかでも、渋谷教育学園幕張校は「13年の東大合格者数は61人に達し、09年の28人から倍以上と、飛躍的に実績を伸ばしている。近年急成長している進学校の一つ」だ。

 しかも「東大合格者数では開成に劣る渋幕だが、海外トップ大学になると、むしろリードしている。13年は米国のハーバードやプリンストン、エール、ジョージア工科大学など、計45人を現役合格させた」実績を持つ。都内の有名私立中学に通っていた千葉県内在住の優秀な生徒たちが次々に入学してきており、幕張という立地の良さが成功の理由の一つだ。

●キッズダンス必修化で加熱する幼児のスポーツ教育

 特集「PART3 スポーツも音楽も競争社会」では授業必修化で注目度急騰のキッズダンスや、体育会系幼稚園ビジネスにも迫っている。

 音楽大手エイベックス・グループが経営するダンススクール、エイベックス・アーティストアカデミーは全国に約1万6000人の生徒がおり、そのうちの6割は小中学生。受講料は月9450円だ。EXILEのリーダーHIROが社長を務めるLDHが展開するEXPG(EXILE PROFESSIONAL GYM)は入会金3万円、キッズは月1万5000円かかるという。

 また、体育会系幼稚園では、バディスポーツ幼稚園のように、国からの補助金を受けない認可外の幼稚園もある。その分、指導者も一流揃いで、卒園時には三点倒立と逆上がり、跳び箱も飛べるようになっているという。ただし、入会準備金が12万円に、月謝が3万9500円と価格も高い。

 今回の特集では、エイベックス・グループの人材開発事業・店舗開発事業会社エイベックス・プランニング&デベロップメントが普及に力を入れている日本ストリートダンス協会の公認ライセンス制度が注目だ。

 入門レベルのオープンから最上級レベルのインストラクターまで7段階。第1回ストリートダンス検定が10年9月に開催され、それ以来、毎年開催されているという。

 検定ビジネスは、受験料で確実に利益が上がる。ゆとり教育の次はキッズダンスの必修化を打ち出した文部科学省だが、キッズダンスも子どもたちが気軽にできるというレベルではなく、大人のビジネスになってきたのかもしれない。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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