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いじめを深刻化させる小学校の、あきれた実態〜被害者の親を責める校長に加害者の親…

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 話が前後するが、それは、このいじめのあった市立小学校の校長の「(Aちゃん本人から聞き取り調査を行った際、いじめについて)本人はあまり深刻に捉えているふうではなかった」との発言からも見て取れる。

●責任の所在を曖昧にする学校、教育委員会

 それにしても市立小学校側、またこれを指導する大阪市教育委員会の対応がひどい。筆者が、まずこの市立小学校に取材申し込みを行った際、電話対応した女性は「校長はおりません」と発言。一刻を争う事態であると告げると、今度は「取材は教育委員会で対応する」と木で鼻をくくったような対応。

 やむを得ないので、「こうした応対も含めて教育委員会に報告するが、それでよいか」と告げると、すぐに校長が電話口に出てくるといったありさまだ。

 後日、校長に直接取材すると、「いじめがあった」との事実を認めた。しかし、これは、被害を受けた側が、いじめと捉えたのであればいじめである――との認識で、どこかお役所仕事的な回答に終始。また、「今後、人権意識を高めるべく、道徳の授業をより手厚くする」などの策が語られたが、はたして、これで本当にいじめは撲滅できるのか。部外者ながら、少なからず心配になる。

 上述した5人の児童からAちゃんが袋叩きにされ、ホウキで頭を殴られた際、「目まいがして、ふらふらして、一日中、気分が悪くなった」という。

 これについて校長は「なぜ、ホウキで殴られて目まいがしたのなら保健室に行かなかったの?」とAちゃんに聞き取りを行ったが、その際、「すぐに良くなったから」と話したので、大した問題ではないと思ったと筆者のインタビューに答えた。Aちゃんが「すぐに良くなった」と答えたのには理由がある。

「お母さんと先生たちに心配をかけたくなかった」(Aちゃん)

 こうした子ども心をくめない、校長、教頭、担任は、もはや教育者失格と断言せざるを得ない。

 校長がいじめ事案を認めたにもかかわらず、フルタイムで忙しく働くAちゃんの母親に対し、学校側は「いろいろ説明したいので、昼間の時間、学校に来てほしい」といい、Aちゃんの母親が多忙を理由に別の時間にしてほしいというと、担任が「なぜそんなに忙しいのか?」などと詰め寄る始末だ。

 学校側の手ぬるい対応は、これにとどまらない。教育委員会からの指導もあり、校長の責任の下、6月中旬、加害児童とその保護者が集まり、Aちゃんと母親への謝罪の場が設けられたが、ここでは、冒頭部のAちゃんの詩に託された5月のいじめ事案のみの謝罪だけで事を収めたのみならず、加害児童側のある母親などは「なぜ5月の話を今さら蒸し返すのか」とAちゃんの母親と校長に強く抗議する場面もあったという。

 本件について大阪市教育委員会は、「こども相談センターなども活用して、Aちゃんの心のケア、そしていじめ事案撲滅に徹底的に取り組む」としているが、教育委員会主導で、学校外の機関を用いなければいじめ問題が解決できないところに、この市立小学校の問題がある。船頭多くして舟山に上る。責任をたらい回しにする教育現場に、いじめ撲滅は期待できない。今後も徹底的に地域で、この学校の教育を注視する必要があろう。
(文=秋山謙一郎/ジャーナリスト)

BusinessJournal編集部

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